糸島のアトリエ「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」その2

by 丸黄うりほ

①龍石修さん。ひょうたんバッグとともに

②ひょうたんスピーカーがすべての始まり

③大人気のひょうたんランプ

④龍石さんのひょうたん作品はモダンな雰囲気

⑤「糸かけ曼荼羅」はワークショップも

⑥「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」のひょうたん本

⑦アトリエ2階にはさらに大量のひょうたんが! 

アトリエ「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」(きのうの日記を参照)のご主人である龍石修さんは、もともと福岡市内でレコード店を営んでいらしたのだそうです。そんなとき、画家の秋元しゅうせい氏が考案したひょうたんスピーカーに出会い、そのやわらかな鳴りに魅せられ、自分でもつくってみようと思った。それが、現在のひょうたん生活に入られたきっかけだといいます。

龍石さんは2009年に糸島市に移住。本格的にスピーカーの制作をするためにひょうたん栽培を始めました。初めの数年はスピーカーだけを作っていたそうですが、やがて、スピーカーに向かないひょうたんで、ひょうたんランプを制作するように。

現在は1年間に1000個ものひょうたんを畑で収穫するかたわら、皮の厚めのひょうたんでスピーカー、薄めのひょうたんでランプ、どちらにも向かないひょうたんでオブジェや花器などを制作。国内外のギャラリーや美術館などで作品を展示したり、ショップ販売、通信販売もされています。

龍石さんのひょうたん作品の特徴は、あまりこってりと加工せず、ひょうたんそのもののフォルムや皮の風合いを生かした、シンプルでモダンなデザインにあると思います。よくある和風のひょうたんの置物とは趣きがだいぶ違うので、今のインテリアにもよく合いますよね。しかも、できるだけ環境に負荷をかけないオーガニックな栽培方法を実践されているため、エシカルやサテスナブルといった面からも時代にぴったりです。

写真①をご覧ください。龍石さんが手にしていらっしゃるのは、ひょうたんで作ったバッグ。おしゃれです!

ひょうたんスピーカー(写真②)は、見た目が可愛いだけでなく、もともと音楽畑にいらした龍石さんの作品だけあって音も本格仕様。いちばん人気があるひょうたんランプ(写真③)は、光が美しく透けて、置いた場所で広がるデザインが楽しい。こちらは、ワークショップも開催されています。

ひょうたんの花器やオブジェ(写真④)はどれもスタイリッシュ。その後ろに飾られている白い額と写真⑤は、龍石さんのもう一つのライフワークでもある「糸かけ曼荼羅」の作品です。こちらも時々ワークショップを行なっているそうなので、気になる人はぜひ「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」のウェブサイトをチェックしてみてくださいね。サイトを見ると、糸島でひょうたんと和やかに暮らす龍石さん一家の、一年の様子を垣間見ることもできます。

写真⑥は、龍石さんが作られたひょうたん本です。アトリエのこと、栽培のこと、さらには世界中のひょうたん文化のことまでを分かりやすくまとめた冊子。龍石さんのひょうたんへの思いや哲学が伝わってきます。

龍石さんの暮らしぶり、そして「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」の存在って、ヒョータニストの理想ですよね……。その思いは、アトリエの2階に待機しているひょうたんの在庫を見せていただいて決定的になりました。(写真⑦)

これからランプになる、あるいはスピーカーに、オブジェになろうとするひょうたんたち。まるで生きているみたい。小人か妖精のようにも見えます。きれいに並んだその姿からは、幸せオーラが出ていました。

(734日目∞ 4月22日)

※次回735日目は奥田亮「でれろん暮らし」、4月25日(月)にアップ。

736日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、4月26日(火)にアップします。