ほったらかし「ドミティアヌス」

by 丸黄うりほ 

①年末に水やりをやめた「ドミティアヌス」

②「ド実7号」と「8号」。実はずっと青いまま

③「ド実5号」。すっかり葉がなくなって丸見え

④枯葉ですが水彩画みたいにきれいよね?

⑤げっ! 臭い!「ド実1号〜4号」はまだ水の中

 春にタネをまき、夏に蔓が伸び、花が咲いて実ができ、秋には収穫期を迎えるひょうたん。収穫した実は水につけてタネとワタを取り出し、完全に乾燥させると、なかが空洞の容器として第二の瓢生を歩み始めます。

この「ひょうたん日記」でも、ヒョータニストさんたちのひょうたんが、楽器やランプ、花器、温灸器など、さまざまなものにメタモルフォーゼしていくようすをお伝えしてきました。

はい。……で、どうなっているの?

どこかからそんな声が聞こえてきそうです。そう、我が家のひょうたん。イプの「ドミティアヌス」は、その後どうなったのか?

「ドミティアヌス」のことを最後にお伝えしたのは12月1日(649日目)の日記でした。先成りの4個の実(ド実1号〜4号)は水つけ処理に入っており、タネが大きいわりに口部にあけた穴が小さすぎて出しにくいこと。しかし、もう間も無く水つけの段階は終わりそうだと。また、後成りの3個の実(ド実5号、7号、8号)は11月に収穫してしまってもよかったけれど、もう少しだけ蔓にぶらさげておいて様子を見ようと。

そんなふうに書いていながら、12月は、というか1月半ばを過ぎた今日に至るまで……。私は「ドミティアヌス」のことを、ずっとほったらかしていました……(声が小さくなる)。

水やりは12月28日か29日あたりでやめたと思います。その頃はまだ緑色の葉がついていたんですが、すっかり水を吸わなくなっていたので、蔓自体はほぼ死亡していました。

その後は寒風に晒したままで、完全にほったらかしていました。きょう、久しぶりに様子を見るためにベランダへ出て写真を撮りました。実はあいかわらず青いままですが、葉はすっかり枯れています。蔓は不思議なことに、実とつながっているところだけまだ緑色をしていました(写真①②③)。

頑張った枯葉をよく見ると、とてもきれいだなと思いました。微妙で深みのある色が水彩画のよう。死を前にして悟りきったような、その姿……(写真④)。

「忘れていたわけじゃないんだよ。とても忙しくってね」と、私はひょうたんに言い訳を言いましたが、本当はちょっと忘れかけていました。

そして、風呂場の隅に置いたままだった、ド実1号〜4号の様子も見てやらないと……、と思い出しました。フタを開けるだけでいいのに、こっちも全然見てなかった。久しぶりに開けてみると……。

「うっ!こ、これは」

水はどんよりと澱み、表面には怪しい膜ができています。そして、すさまじい悪臭が私の鼻に襲いかかってきました。凶暴すぎるその臭いは、まさしく怒っているひょうたんの臭い……。

「ほったらかしていて本当にごめんよ!許しておくれ、ドミティアヌス!」

(677日目 ∞ 1月19日)