別の視点から俯瞰する

by 奥田亮

初雪です。寒いです。

きょう(11月27日)、とうとう雪が降りました。早朝に小布施の山、雁田山(かりたやま)が冠雪していたので、あー、山の上の方は降ったんだと思っていたら、午後になって里の方でも降り出しました。先週、いつもお世話になっている町の方が、「寒くなってきたねえ、でもまだ白いものが舞わなくていいけど」と仰っていたのですが、いよいよその白いものが舞うようになってきたのです。今年は雪が多いのかな。

先週は少し暖かい日もあったので、よいしょっとばかりにズクを出して、菜園の片付けをしました。隅っこの方に積み上げて放置していた、ナスやピーマンなどの夏野菜の枝やヒョウタンの蔓もボロボロと分解しはじめています。それを少し細かくちぎり、刈った草や落ち葉といっしょにボカシと土を混ぜ込んで再び積み上げ、黒マルチシートを覆いかぶせました。

菌ちゃん農法でお世話になっている佐世保の吉田俊道先生が考案された、雑草を土に変える方法を適当に真似してやってみているのですが、うまくいくのかどうかはわかりません。いろいろ面倒なところはやらなかったりなので、うまくいくかどうかはわかりませんが、まあダメ元で。2カ月ほど前に同じようにしてやったところは、嵩が半分以下になっていて、分解が進んではいるようです。シートを開けるとミミズがいっぱいいたので、まだまだいい土になるには時間がかかりそうですが、春には何らかの結論が出るでしょう。まあ、気長にいきます。

草や生ゴミを微生物で分解しています。左は少し前にやったところ。

左《瓢立琴 銘 剥き身》、右《瓢立琴 銘 電柱》

今週(先週)は久々にひょうたん楽器に触りました。先週(先々週)たまたまレコードを買いに来られたお客さまがひょうたん好きということがわかって盛り上がり(79号参照)、つい楽器を持ち出して見てもらったりしたのが引き金となったのでした。

今回触った楽器は、《瓢立琴 銘 剥き身》と《瓢立琴 銘 電柱》の二つ。これは長瓢の周囲に弦を5〜6本張り、琴柱をひょうたんの表面に着けてダイレクトにひょうたんを共鳴させる楽器です。形状や弾き方は、マダガスカルのヴァリハに似ていますが、音は西アフリカのコラのようでもあり、アイヌのトンコリのようでもあります。

使っている弦は、《剥き身》が建築用の墨つぼ糸(絹)、《電柱》がタコ糸。音や形状があまり他に類例を見ないということもあって、最近使用頻度が高くなっている楽器です。大抵の場合、5本または6本の弦を適当に調弦して、いい感じの音の連なりになったら、しばらくそれで弾き楽しむ、ということをしています。

拙作CDの1曲目「たららん」は、この二つの楽器をメインに使っていますが、この時も適当に調弦した6音をベースに音を重ねていったので、どんな風に調弦したのか記録もとっておらず、あとで再現しようとしてもよくわからないのでした。大体がそんな風に行き当たりばったりで、絶対音感もないので、一体どんな音階を使っているのか、全くわからないままです。

今回久々に音を出してみると、いつ調弦したのか、緩んでそうなったのか、けっこういい感じの音階になっていたので、そのまましばらく弾き遊んでいたのですが、ふと思い立ってピアノで音階を探してみたのです。そうしたら、左から、E、C、G、C(↓)、Bb、D。概ね中心に行くほど低く調弦していて、弾く時は右手の人差し指と親指でC(↓)、Bb、D、左手の親指で、E、C(↑)、Gを弾くのでよくわかっていなかったのですが、ピアノで低いところから高いところまで音階を並べてみると、C、G、Bb、C、D、E。コードに当てはめると、C7とC9みたいな感じ。ちなみに《電柱》の方はD、G、C、D、Fの5弦。Fが入っているのがちょっと曲者ですが、たまにFが入ることで、CとFの2コードの曲になりそうです。なるほどそういうことか。

《剥き身》の調弦

《電柱》の調弦

適当にやってることを記録して別の視点から俯瞰すると新たな展開が生まれるんですね。もしかしたらこれ、五線譜に採譜したりしたら、さらに面白い展開になるのかもしれない。ピアノのお稽古で少しだけ譜面に対するコンプレックスがなくなりはじめている頭が、ちょっとだけワクワクしています。

気がつけばずっと雪は降り止まず、ひょっとしたら積もるのかもしれません。外はもう暗くなりはじめています。初雪にして初雪掻きになるんでしょうか。それはちょっと厳しいっす……、でれろん。

(647日目∞ 11月29日)