ひょうたんの色と形と「景色」を楽しむ
by 丸黄うりほ
花の盛りの7月から8月はじめに受粉した実たちが完熟し、ひょうたんの収穫はいま最盛期を迎えています。
2021年ヒョータニストの一人、和泉市のヤマミーさんは今週、二度目の収穫を行いました。前回、9月の収穫(596日目)では35個の千成ひょうたんが収穫できたということでしたが、今回は31個あったそうです。(写真①)
そのなかには、7月植えのひょうたん「マルコ」の実もありました。「マルコ」のことは8月3日(567日目)の日記で紹介しましたが、もう実が収穫できる時期になっていたのですね。
写真②が、その「マルコ」の実です。ふっくらと丸く、上のふくらみが大きくて、標準的なひょうたん型とは少し違っているけどなんとも可愛い形。
写真③も「マルコ」の実。こちらは茶色く枯れていて、下半身に虫に食われた跡があります。そして、ひょうたんの実になりきるまでに枯れてしまった小さな実が蔓でくっついています。まあしかし、こちらもなんと可愛いのでしょう。
そして、写真④をご覧ください。このひょうたんは上部が茶色くなって枯れていますが、そこにつながっている蔓が、とてもいい雰囲気をかもしだしています。
ヤマミーさんのひょうたん写真からは、愛情に包まれて、とても大切に育てられた……というオーラが出ています。写真そのものもとてもお上手だけど、なによりも優しさを感じます。
収穫したてのひょうたんの上品な色と、実それぞれの個性が感じられる形。そして、自然が作り出した傷やシミまでが愛おしい。それは、焼き物の「景色」を楽しむように、鑑賞に耐えうるものだと思うのです。
ひょうたんは水つけ処理をすると一皮むけて、大抵はつるりときれいになります。そして乾燥させると色は薄茶色になります。そのような状態のひょうたんもまた美しいのですが、収穫したてのひょうたんとは風合いが異なります。私自身は、この収穫したてのひょうたんの、期間限定の美をできるだけゆっくりと愛でたい。それに近い心情をヤマミーさんもお持ちなのではないか。そんなことを、これらのお写真を拝見させていただくと感じるのです。
ひょうたんの「景色」を楽しむといえば、瓢箪山のフェイ・ターンさんのお写真にも面白いものが写っていました。
写真⑤は、フェイ・ターンさんが作り上げたひょうたんランプです。このランプに使われているひょうたんは去年お店で買ったものだそうで、ご自身で穴をあけてランプに加工されたのです。その後ろに佇んでいる素ひょうたんたちが、今年栽培して収穫し、水つけ、乾燥まで終わった実たち。今のところ、これらのひょうたんたちもランプにしたいなと考えてらっしゃるそうなのですが……。
その一つ、イプの実にライトを仕込んでみたら……!(写真⑥)
顔があります!この子、こちらを見て笑っていますよね?
(618日目∞ 10月15日)
※次回619日目は奥田亮「でれろん暮らし」、10月18日(月)にアップ。
620日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、10月19日(火)にアップします。