仮に共鳴皮と呼んでおく

by 奥田亮

水漬けを終了したイプ。一つ割れてしまいました。

共鳴皮を裏から削って2ミリ以下の厚さにしてみる。

コンコンと叩くとわりと響きます。

金属の心棒を入れ梁を通す、共鳴皮にも左右に板を通す。

 

日中の気温が20℃前後になってきて、屋外活動がやりやすくなってきました。

水漬けヒョウタンをいよいよ水から出して洗いました。4つあったうち1つは生育不足で既に崩壊してしまったのですが、今回残りの3つをバケツから取り出すときに1つ落としてしまい、ひび割れてしまいました。やはりちょっと生育不足で皮が薄かったようですが、落とさなければなんとかなったぐらいの皮厚でした。ごめんなさい。とりあえずこのまま乾燥させて何かに使う方法を考えます。天然スリットドラムにできるかもしれませんが、皮が薄いのであまり強く叩けないかも。

さて、先週から途中経過をお伝えしている楽器づくりの続きです。縦割りした長瓢、普通なら切ったところに共鳴板を張って、そこに弦を響かせるわけですが、今回は、この切り取った部分をそのまま共鳴板にする計画です。なので、切り取った部分も、切り取られた部分も切り口がきれいに整っている必要があり、よけいに神経を使いながらの切断作業になったのでした。

ならばそのまま切らずに弦を張ればいいのではないか、とお思いの方もおられると思います。それでもいいのかもしれないのですが、共鳴板は厚さが2ミリ以内の方がいいと昔とある人に聞いて、確かに薄くすれば音がよく響くので、共鳴させる部分を一度切り取って裏から削り、厚さを2ミリ以下にして貼り戻すという方法を思いついたのでした。

これが奏効するのか、意味がないのかはわかりませんが、コンコンと軽く叩いて響きを確認すると、削らない時よりもいい感じに聞こえます。で、この共鳴部分(仮に共鳴皮と呼んでおきます)の強度をあげるために板を挟んで取り付けてみました。これが音にどんな効果をもたらすのか、もたらさないのか、反って邪魔になるのか、わかりません。だいたいいつも、わからないまま進み、わからないまま弾いて、まあこんなもんかなと、ことさらに検証もせずに作りっぱなしです。進歩しないのは当然ですね。

そして今回はもうひとつ、新たな試みをしてみました。ヒョウタン自体は柔らかく、さらに一部を切り取るとバランスが崩れて、弦の張力に耐えられる強度を保てないので、心棒を入れないともたないのですが、いままでこの心棒には、木や竹を使っていました。今回ふと思い立って金属の棒を入れてみることにしたのです。上から下まで、120センチを貫いているので、たぶんこれで張力には耐えられると思いますが、結果としてとても重くなりました。あーそうか、金属って重いんだ。でもこの重さ、とても心地いいのです。

これまで作った楽器は、ヒョウタン自体が軽い素材なので、楽器もとても軽くて、持った人がその軽さにビックリするほど。持ち運びにはとても便利なのですが、軽すぎて安定せず、それが弾きにくさの原因になっていました。なるほど、この重さがあると弾きやすそうです。

もうひとつ、金属を入れてみて音質に影響する可能性がありました。共鳴皮をコンコンと叩くと、当然金属棒が振動して金属的な音がかすかに響くのです。今回は金属弦を使う予定ですし、想定している楽器の響きにはもしかしたらピッタリかもしれません。

そんなに気をもたせることもないのですが、何の楽器を作るのかは来週発表します。楽器づくりはまだ続きます。でれろん。

(497日目∞ 4月19日)