瓢臭のポジティブな利用法

by 丸黄うりほ 

▲瓢臭で脳内温泉気分というのもオツ

▲昭和の下町にタイムスリップ

▲「いらすとや」さんのひょうたん

 

我が家のベランダで栽培したひょうたんの実のうち、後成りの25個は現在水漬け中です。この日記の433日目(1月15日)でも紹介したように、ゴミ箱を使って漬物容器を作り、風呂場の片隅に置いています。

このひょうたんの水漬けというものが、すさまじい臭いを発生させるということについても何度かここで書いてきました。腐ったひょうたんの臭い、すなわち瓢臭であります。

もしこれを使って何かできるとしたら?

まず考えられるのが嫌がらせです。玄関にでもまいておけば、宗教の勧誘とかNHKの集金とかは来なくなるでしょう(ちなみに我が家はテレビがありません)。「この家は臭すぎる。近寄らないほうがいいだろう」と判断してくれるんじゃないかなと思うのです。しかし、こういうネガティブな発想はあかんね。

というわけで、私は瓢臭のポジティブな利用法について考えてみました。

まず最初にひらめいたのが、脳内温泉気分というものです。

先日、水漬けの状況を見ようと思って少し容器の蓋を持ち上げてみたら、「まだ早い」という感じでしたので、すぐに蓋を閉めました。ところが、風呂場にはぷ〜んと帯のような瓢臭が残りました。そのあと続いて風呂に入った私は、「ん?この臭いは?なんとなく温泉で嗅いだことがある臭いじゃないか?」と気がついたのです。

そうです、瓢臭はイオウの臭いに似てるんですね。イオウを含んだ泉質や、湯の花などを連想させます。この効果を利用すれば、自宅の風呂場にいながら温泉気分を味わえる。市販の入浴剤にも温泉気分のものはたくさんありますが、あれよりずっとリアルです。我ながら、これはいい発見をしたなと思います。

臭いからの連想、ということでもう少し考えてみたら、私の脳内には昭和の下町の風景が広がりました。路地裏を元気にかけまわる子どもたち。夕焼け空に電柱と電線のシルエット。そして、あっこれはバキュームカーが近くにいるなという臭い……。

ノスタルジックな昭和情緒。高度経済成長期で元気なニッポン。

ちなみに、このページのイラストは、令和の高度不景気時代を席巻するフリー素材イラストの「いらすとや」さんの作品を使わせていただきました。

どんな絵でもあると評判の「いらすとや」さん。ホヤ好きの友達が「ホヤもあった!」と喜んでいたのを SNS で見かけたので私も検索してみました。

確かに「温泉」で検索すると驚くほど種類豊富。ここに使わせていただいたもの以外もいっぱいあって迷うほどでした。まさかの「バキュームカー」もありました。「ひょうたん」は、縁起物のカテゴリーに2種類みつかりましたが、植物のところにはありませんでした。うーむ。

(445日目∞ 2月2日)

  • 丸黄うりほ  ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョウタン総合研究所」立ち上げ所員。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンションのベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。
  • ふじっこさん  「ヒョウタン総合研究所」所員。ひょうたん栽培2年生。2020年は自宅の庭と畑で6品種6苗のひょうたん栽培に挑んだ。そのようすを丸黄への報告と写真提供でリモートひょうたん活動中。