ひょうたんの奈良漬と「まんなをし地蔵」
by 丸黄うりほ
明けましておめでとうございます。令和3年最初の「ひょうたん日記」は、奈良からお送りします。
3日、私は「花形文化通信」の塚村編集長に教えてもらい、東大寺二月堂の裏にある「まんなをし地蔵」に参ってきました。「まんなをし」の「まん」とは「間」のこと。「間が悪い」のを直し、巡り合わせを良くしてくださるお地蔵様なのだそうです。
私たちは近鉄奈良駅で待ち合わせをして、まずは東大寺のほうへ向かいました。
その参道、南大門のすぐそばには、森奈良漬店という老舗があります。ここの奈良漬は本当においしい。しかも、珍しいひょうたんの奈良漬があるのです!ということで、東大寺界隈に来るとこのお店に立ち寄らずにはいられません。去年の日記(188日目)でも紹介したので、よかったらプレイバックしてみてくださいね。
この日、店頭にはひょうたんの奈良漬は並んでいませんでした。でも、お店の人に「ひょうたんはありますか?」と聞いてみたら、「ありますよ」との返事。おお、今年はさっそく「まんが良い!」。ここが重要ポイントなんですが、ひょうたんの奈良漬はいつもあるとは限らないのです。だいたい普通のひょうたんは食用に適しません。ククルビタシンという毒があり、「食用ひょうたん」は、そのひょうたんを食べられるように品種改良した貴重なもの。
商品を包んでもらう間に店頭を見ていたら、贈答用の詰め合わせ見本がありました。ひょうたんも入っています。すいか、はやとうり、すもも……、どれもおいしそうです。
と、そのとき。お店の中に大変可愛いお客様が入って来られました!春日大社の神様の使いです。たくましいおじさん鹿と、その子分らしき若衆。これもまた正月早々、「まんが良い!」
私はひょうたんの奈良漬とともにウリのきざみ奈良漬を購入しました。袋の裏に貼られたラベルを読むと、ひょうたんの産地は徳島県だと書かれています。食用ひょうたんはベトナムやタイからの輸入品が多いので、国産というのがまたうれしい。そして、「瓢箪奈良漬」という文字列の神々しさときたら!
私たちは南大門をくぐり、鏡池の横を斜めに走る参道を歩いて二月堂へ。その裏手にある「まんなをし地蔵」にも無事にお参りすることができました。
今年一年、さらに「まんの良い」人との出会いや、ひょうたんとの出会いがありますように。これを読んでくださっているみなさまにも、ひょうたんの面白さと縁起の良さを、もっともっとお届けできますように。
(426日目∞ 1月6日)
- 丸黄うりほ ∞ ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョウタン総合研究所」立ち上げ所員。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンションのベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。
- ふじっこさん ∞ 「ヒョウタン総合研究所」所員。ひょうたん栽培2年生。2020年は自宅の庭と畑で6品種6苗のひょうたん栽培に挑んだ。そのようすを丸黄への報告と写真提供でリモートひょうたん活動中。