「空也上人開山忌」とひょうたん(2)
by 丸黄うりほ
昨日に続いて京都市中京区の空也堂から、「空也上人開山忌」のレポートをお届けします。
私は期待に胸をはずませながら時を待ちました。法要の開始時刻が近づくにつれてだんだんと人が多くなってきて、お堂の中はほぼ満席状態に。ただ、事前情報ではお堂に入りきれないほど人が集まり、境内は大混雑するときいていたのですが、そこまでではありません。おそらく、今年独特の事情によるものでしょう。
ちょうど13時に、最初の儀式である献茶式が行われました。お点前をされたのは裏千家の方で、御本尊の空也上人立像に献茶されました。
続いて、お導師の「極楽院空也堂大垣別院」住職と、おもに岐阜県大垣から来られたという空也僧の方々が姿を現しました。「おもに」というのも今年独特の事情によるもの。コロナ禍のせいで、当番の大垣から全員揃って京都に来ることがかなわず、他の院の方が急遽メンバーに入られたのだそうです。
空也上人は、鉦をぶら下げ、鹿角の杖を持っていらっしゃいます。お導師も同じお姿、袈裟から背中に下げた紐にはひょうたん飾りが見えました!! 朱色に金糸があしらわれ、布製のひょうたんのように見えます。空也僧のみなさんの袈裟からも背中に紐が下がり、そこにひょうたんが留められていました。布製のひょうたんのほかに、ビーズでおおわれたひょうたんや、本物の千成ひょうたんらしきものも見受けられます。
お導師を中央にして二列に並んだ僧たちが念仏を唱え、次第に輪になりながらゆっくりとしたテンポで手にした鉦や太鼓を叩き、堂内を回り始めました。輪の動きはだんだんと勢いが出てきて、その足取りやお念仏を唱える声も高く、大きくなっていきます。これが踊念仏や六斎念仏のルーツといわれる歓喜踊躍念仏なのです。
……お念仏奉納は30分ほど。
夢のような心地で眺めていたらあっという間でした。
しかし、本命のひょうたん叩きは?なぜか空也僧の誰一人としてひょうたんを手に持たれておらず、ひょうたんが叩かれるところを写真に収めることはできませんでした。鉦や太鼓は叩かれていたのになぜ、きょうの歓喜踊躍念仏ではひょうたんが使われなかったのだろう???
その疑問を残したまま、速やかに次の奉納が始まりました。千本六斎会のみなさんによる六斎念仏です。六斎念仏は民族芸能として全国に広がり、伝承されていますが、京都の六斎念仏は笛の演奏などを取り入れ、娯楽要素の強い芸能として独自に発展したといわれています。
演じる人々も老若男女そろっていて、揃いの衣装もかっこよく、見せ場もふんだん。1時間ほどたっぷりと楽しませていただきました。
しかし、こちらの六斎念仏にもひょうたんは登場しませんでした。
ああ、なぜ?なぜなのか!?
その理由は最後にわかりました……。レポートは明日に続きます。
(417日目∞ 12月17日)