ひょうたんな街・長浜(13)ガラスのひょうたん

by 丸黄うりほ 

▲長浜はガラス推しの街!(写真1)

▲美しいステンドグラスひょうたん(写真2)

▲ガラスとひょうたんのコラボ電柱(写真3)

▲路地奥で見つけたレトロな万華鏡

▲手回しで模様が変わる仕組み

▲表情がコワい豊臣秀吉

 

ひょうたん好きの私や、今回同行してくれたふじっこさんにとっては、長浜はひょうたんな街。ですが、もしかしたら他の観光客にとっては違うのかもしれない。そんなことをふと感じたのは、「黒壁ガラス館」の周辺を歩いていたときでした。

「黒壁ガラス館」は、もと銀行だった建物を改装して、平成元年にオープンしたガラスアートのギャラリーです。昔、できたばかりの頃にちらっと訪れたことがあるのですが、当時は周辺に三つほどのガラス関連施設があるだけでした。しかし、今回行ってみるとこのあたり一帯は「黒壁スクエア」と名づけられ、ガラス製品やアクセサリーなどを扱う店がたくさんできていて、そのどれもが大変にぎわっていました。

そういえば、「太閤ひょうたん」の1階もステンドグラスの工房になり、ひょうたんの販売は2階のみでした。以前は1階もひょうたんだったんじゃないかと思うのです。記憶にあまり自信はないのですが。

もしかしたら、いまの長浜はひょうたんよりもガラス推しなのかもしれない……。調べてみても、長浜とガラスには特に深い所縁はなさそうなのですが。それでも、ひょうたんよりもガラスのほうが一般には人気があり、商売になるのかもしれません。

と、そんなことを思いつつ歩いていると、某ギャラリーの玄関先で美しいひょうたんのステンドグラスを発見(写真1、2)。さらに、電柱にもひょうたんを刻んだグラスアートを見つけることができました(写真3)。

よかった。ガラスびいきの人たちも、一応はひょうたんのことを覚えていてくれていたんだね……。

かつては自分が街でいちばんの人気者だったのに、後からやってきた人気者に追い越され圧倒されているひょうたんのような気持ちになりながら、私とふじっこさんは、さらに商店街をぐるぐる歩きまわりました。そして、いつの間にか迷い込んだ路地裏で不思議なものを見つけたのです。

古びた白い塔のようなもの。高さは2階建ての家くらいあります。「堅型万華鏡」と書いてあり、横に錆びた丸いハンドルがあって、「ゆっくり回してください」と書いてあります。ハンドルを回すと、てっぺんに見えている模様がそろそろと動き出しました。

それはレトロでちょっぴり寂しげな建造物でした。にぎやかな商店街の雰囲気とは落差がありすぎます。万華鏡の横には、馬にまたがった猿のようなコワい顔をした木彫りの武将がいました。豊臣秀吉だと書いてありましたが、それとは関係なさそうなちょっと不気味な別の人形が二体も前に置かれ、隅っこに押しやられ、なんとも気の毒な感じです。桐紋は描かれているけど、ここにもひょうたんはないなぁ……。

(393日目∞ 11月12日)