いつまでもあると思うな、「ひょうたん」

by 丸黄うりほ

▲神戸の名店「餃子のひょうたん」が閉店!(画像は「餃子のひょうたん」インスタグラムより)

▲このひょうたんの顔とロゴ文字が好きでした。

 

先週、私のSNSのタイムラインを駆け巡った「餃子のひょうたん」閉店のニュース。メールでわざわざ知らせてくださる方までいました。

この「餃子のひょうたん」は、おそらく神戸に縁のある方なら知らない人はいないんじゃないか、というほどの有名店でした。JR元町駅のすぐ近くと、阪急神戸三宮駅の高架下と、北野坂に3店舗あって、どのお店も小さいけれどいつでも満席。店の外に「餃子しかありません」とわざわざ書いた紙が貼ってあって、入ってみると本当にほぼ餃子しかない。餃子は味噌ダレでいただくという神戸スタイルで、他のメニューはビール、紹興酒、泡盛くらいだったでしょうか。餃子一筋63年ということですから、とにかく餃子に自信があった。ある種いまの時代には珍しい、ストイックなお店だったのだと思います。

このお店の店名が「ひょうたん」または別表記「瓢たん」で、シンボルマークも、のれんの模様もひょうたんということで、いつかはこの日記にも書こうと思っていました。私がずっと気になっていたのは、「なぜ店名がひょうたんなのだろう?」ということ。もうひとつは、この味わい深いシンボルマークの顔と、なんとなくホラー映画ぽい「ひょうたん」という震えるロゴ文字のことです。

昭和32年創業ということですから、このシンボルマークとロゴはおそらくその時代に生まれたものなのでしょう。版画っぽくあり、アートっぽくもある。吹田市にあるオリオン粧品工業という化粧品メーカーの旧ロゴの顔とちょっと似ていて、もしかしたら作者が同じかもしれない……と私は勝手に思ったりしていたのでした。

しかし、閉店してしまったいま、そのことをお店の人に確かめてみることも、もうできません。

まさかこんな人気店がいきなり全店閉店するとは思っていなかったので、この日記に書くのもそのうちでいいや……と思っていたのが間違いでした。流れてくる情報によると、コロナ禍を乗り越えて6月に平常通り営業が始まった矢先に、餃子の製造責任者が倒れ、閉店を決められたのだとか。これって、コロナとまったく関係がないとは言えないんじゃないかと思います。

この「餃子のひょうたん」以外にも、ひょうたんが店名に含まれる京阪神の人気店はいくつかあって、そのうち書こうと思ってはいるのですが……。なんでも、いつまでもあると思っていたらダメですね。

(302日目∞ 6月30日)