大阪音大楽器資料館ひょうたん探し(7)アジアの弦楽器

by 丸黄うりほ

▲インドの「ゴピーヤントラ」(手前)「ツンティナ」(奥)

▲インドの「エクタール」

▲中国の「葫蘆琴(フールーキン)」

▲トルコの「カバク」(中央)

▲アフガニスタンの「タンブール」(上)「シタール」(下)

 

大阪音楽大学音楽メディアセンター「楽器資料館」でのひょうたん探しも、きょうで7日目。ついに最終回となりました。

最終回のテーマは「アジアの弦楽器」です。

昨日も書きましたが、弦楽器を自作するときに一番悩むのは弦をどのようにして張るかということです。アフリカのマリの弦楽器は弦の数がかなり多くても、ネックに革紐でくくり付けていたのが多かった。しかし、エチオピアの楽器では糸巻きが登場していました。これはアジアとの近さに関係があるのでしょうか?

アジアの弦楽器は1弦であっても糸巻きを使用しています。インドの1弦楽器「ゴピーヤントラ」と「ツンティナ」は、もともとひょうたん楽器で、現在は木で作られている共鳴器部分がひょうたんだったようです。「ツンティナ」はネックに竹を使用。「ゴピーヤントラ」はネックではなく、割った竹で弦を挟むようにして持ち、演奏します。竹に力を加えることで弦が撓んで、ボヨヨヨンと独特の音が出るおもしろい楽器。

インドの「エクタール」。この資料館にあったのは2弦の「エクタール」でしたが、「エクタール」は1弦という意味で、この楽器ももとは1弦のひょうたん楽器でした。ブリッジにはネックと平行の刻みが入っていて、マリのブリッジの刻みとは方向が違う。糸巻きはネックの前から突き刺す形になっています。

中国の「葫蘆琴(フールーキン)」も2弦ですが、糸巻きは左右についていて、ギターに近い形になっています。葫蘆(フールー)はひょうたんのこと。弓が添えられているので、二胡のように弓で弾くのですね。

トルコの「カバク」は3弦で、「葫蘆琴」とほぼ同じ構造。弦の端を釣針のような形のものにひっかけてあり、ひょうたんボディにはった皮は鋲でとめてあります。これはホームセンターにあるもので真似できそう。

アフガニスタンの「シタール」と「タンブール」は4弦。糸巻きはどちらも前から刺してあります。この写真の「タンブール」はきれいに螺鈿で装飾してあって、この角度からだとひょうたん楽器には見えませんが、横からみるとひょうたんボディでした。ひょうたんからネックにかけての曲線が、西洋のリュートやマンドリンなどに近い雰囲気です。

こうやってひょうたん楽器を観察してると、地域による違いがグラデーションのようになっていることを感じます。それは、衣服や料理などの生活様式と同じですね。

さてさて。自作ひょうたん楽器に生かせそうなアイデアをいっぱい見つけられたし、ひょうたんが楽器のルーツであることを再認識できたし。心ほくほくしながら、私は「楽器資料館」のドアを後にしたのでした。