末成りひょうたんは、本当にいつまでも青い。

by 丸黄うりほ 

▲最後の実「ウェス実8号」の水浸けを開始しました!

 

ひょうたんとしては異例の10月に成って、昨年末にようやく収穫した、ひょうたんウェスパシアヌスの最後の実「ウェス実8号」。なかなか可愛い形で、いつまでも濃い緑色をしていて、このまま蝋人形にでもしたいと思うくらいだったんですが、そうもいきません。収穫した実をそのままで置いていると、やがては全体にカビが生えて腐ってしまうだけ。ということで、きょうはついに水浸け作業に踏み切りました。

まず「ウェス実8号」の蔓をはさみで切り離し、口部にキリで小さな穴をあけてから、直径1センチのドリルでタネ出し用の穴をあけました。中はふにゃっとして柔らかく、外皮は薄い感じです。

全体がしっかりと浸かる深さの容器に穴をあけた実を入れて、水を注ぎました。このままだとぷかぷか浮いてくるので、不要な雑誌をビニール袋で包んだものを重しにしてひょうたんの上からかぶせました。そして、密閉容器の蓋をしっかりと閉めて風呂場の隅へ。この状態で2週間以上おきます。冬場なので少し時間がかかるかもしれませんが、水に浸けることによって中身が腐り、ひょうたん型をした外皮だけを残すことができるのです。

それにしても。こうやって水浸け作業を始めると改めて思います。「ウェス実8号」は本当に青いなー。10月3日(125日目)11月14日(152日目)に水浸け作業を行なったほかの実の白さと比べてみると際立っています。緑色の皮にアメリカひょうたんによくある白い斑点までついていて、同じ蔓に成った実とは思えないほど。まるで別品種のひょうたんのようです。

最後に成った実のことを末成り(うらなり)ひょうたんといいますが、「うらなり」といえば夏目漱石の小説『坊っちゃん』に出てくる英語教師の「うらなり」を思い浮かべる人も多いと思います。「うらなり」というのは、青白い顔色をした人を嘲っていう江戸時代からある言葉で、末成りひょうたんが語源です。同じ意味で「青瓢箪のような奴」などということもあります。

熟していないひょうたんは青い。そして、末成りはいつまでも青い。これは、単なることわざや悪口ではなかったのですね。「ウェス実8号」が身をもって証明してくれました。