大分・ひょうたん祭り(5)ひょうたん様のご利益

by 丸黄うりほ

▲お神酒を大盤振る舞いするひょうたん様。

 

先週に引き続き、12月1日に大分県豊後大野市で行われた「ひょうたん祭り」のレポートをお届けします。

神社を出発したひょうたん様の歩みは、とにかくゆっくり、ゆっくり。というのは、168日目(12月6日)の日記でも書いたように、ひょうたん様は片足10キロもある大わらじをはいているので、ゆっくりしか歩けないというのが大きい理由です。でも、じつはそれだけではありません。

ひょうたん様がさげている大ひょうたんの中には清酒がたっぷり三升も入っていて、これを沿道につめかけている氏子や観光客に、まったく分け隔てなく振舞ってくださるのです。

しかも、ひょうたん様のお酒はただの酒ではありません。そのご利益は五穀豊穣、無病息災。六瓢は無病に通じるというわけで、ひょうたんから杯に注がれる酒は神通力を帯びた特別なお酒なのです。

豊かに、健康になれるお神酒を誰にでも惜しげもなく振舞ってくださるひょうたん様。立ち止まられるたびに、その周囲には盃を持つ手がわらわらと集まってきます。酒を受ける盃は世話役さんがカゴに入れてらして、それをお借りすることができますし、地元の人や、リピーターらしき人はマイおちょこやコップをしっかり持ってきて、なみなみと注いでもらっている人もいました。

私もひょうたん様のお神酒をいただきました。

ひょうたん様が、ひょうたんから注いでくださるお神酒というのは、もしかしたら我が身を分け与えてくださっているのかもしれないと思いました。

車を運転して私をここまで連れてきてくれた中野さんは、持ち帰れるようにボトル持参で、それにお神酒を注いでもらっていました。ひょうたん祭りが行われている千歳町のような立地には車で訪れる人も多いと思います。その場ではいただかず、持ち帰るというのは正しいし、それに対応してくださるひょうたん様は優しい。

大わらじの重みとお神酒の大盤振る舞いで、ひょうたん様の行列はとにかく進みません。それでも誰もイライラせず、みんなにこにこ。