2025年のひょうたんアクティビティを振り返って
by 丸黄うりほ

①11月29日、「つるばら」で今年のひょうたんライブ終わりました

②トゥバの喉歌・ホーメイの名人、和田史子さん

③丸黄のソロプロジェクト「オール電化ひょうたん」(撮影:tanoさん)

④ハリー・パーチのひょうたん楽器「ひょうたんの木とコーン・ゴング」(撮影:柿沼敏江)
2025年もあと1週間となりました。
私は「丸黄うりほ」として文章を書くほかに、「DJきー???」名義でDJ、「オール電化ひょうたん」としてひょうたん音楽(ソロ)、「ヒョータニスト・パーティ」としてひょうたん音楽のグループ活動をしています。今年のひょうたん音楽ライブの最終日は11月29日でした。会場は、大阪天満の路地裏にある知る人ぞ知る隠れ家バー「つるばら」。対バンは和田史子さん。私は「オール電化ひょうたん」(ソロ)のほうで出してもらいました。
かつて「ひょうたん日記」(1274日目)でも紹介したことがあるのですが、和田史子さんはトゥバ共和国の伝統的な喉歌・ホーメイの名人。イギル、ドプシルール、チャ・ホムスといった珍しいトゥバの民族楽器を演奏しながら、唸るようなホーメイと地声(可憐な美声!)を使い分けて歌うようすは、まるで男女の掛け合いのようにも聞こえます。人の声の可能性、はかりしれない魅力を感じさせるライブは本当に素晴らしいものでした。
自分の「音楽」のほうは、いつもですが今回も反省しきり。何年やっていてもうまくなりません。まあ、ひょうたんを演奏しているという時点でカギカッコ付きの「音楽」であり、正確に言えばノイズです。しかし、ノイズも音楽だと考え直すと、私のやっていることには根本的に見直すべき点がある。来年はもっと精進したいです。
そんな私ですが、今年のひょうたんアクティビティはなかなか活発でした。和田さんとはこの日が今年2回目の対バン。もう1回は7月19日に京都出町柳の「かぜのね」さんに呼んでもらいました。また、「つるばら」さんに出るのも今年2回目で、前回は2月29日。京都地下音楽界伝説の歌姫、アリスセイラーさんと対バンさせてもらいました。
1月から数えてみると今年は「オール電化ひょうたん」で10回、「ヒョータニスト・パーティ」で7回ライブをしました。そのなかには、大阪・関西万博会場でのライブや、恐れ多くも秋篠宮さまの御前での演奏会なども含まれています。読売新聞の記事にもしていただき、朝日放送のラジオ番組にも出演しました。お声掛けくださったみなさま、本当にありがとうございます。
私のささやかなアクティビティが「世間の人々に、ひょうたんをもっと知ってもらいたい。好きになってもらいたい」という、ひょうたんドリーム実現に少しでも役立ってくれていたらいいな。
そんな中で、私にとって今年最大のひょうたんアクティビティ、いや「ひょうたん事件」ともいうべき出来事は、この『花形文化通信』での柿沼敏江先生インタビューだったと感じています。(柿沼先生へのインタビュー記事はこちらから)
音楽学者・柿沼先生へのインタビューが実現したのは6月で、記事は7月から11月まで6回にわたって順次ウェブにアップされました。
すでにお読みくださったみなさんはご存じかと思いますが、柿沼先生はアメリカ実験音楽のエキスパートであり、特にハリー・パーチについては日本でただ一人の研究者でいらっしゃいます。
ハリー・パーチは独自の微分音階による作曲と、その曲を演奏するための自作楽器製作で有名なアメリカ現代音楽の作曲家で、それらの楽器にはひょうたんを使って作った楽器も含まれています。
柿沼先生のお話を聞いて、パーチのひょうたん楽器には演劇の舞台装置にもなるような巨大なものから、民族楽器にヒントを得た試作品まで、思いがけないほどたくさんの種類があるということもわかりました。(柿沼先生へのインタビュー3回目[「ハリー・パーチはやめた方がいいよ」と言われた]はこちら 4回目[私もひょうたんは好きです。これもパーチのおかげ]はこちら)
パーチが目指したものと、ひょうたんがクロスする点。そこには、音楽の正体ともいうべき重要なものがあるのではないか。
そのことに気づかせてくださった柿沼先生と、企画を通してくださった塚村編集長に、ひょうたん型(無限∞)の感謝を捧げたいと思います。
(1404日目∞ 12月24日)



