ひょうたんにボロボロの和綴本を切って貼り付ける

by 奥田亮

定植した大寿。巻きひげも出てきて元気です。

定植したひょうたんは葉っぱが大きくなり、ようやく巻きヒゲも出てきました。伸びる気満々です。ひょうたんモヤシはやはり葉っぱが小さいのですが元気ではあります。しばらく様子見です。

さてそんな中、やっとこさ楽器を作ろうという気持ちがむくむくと湧き出てきました。作るのは以前からここでも何度か言及していたカンボジアのひょうたん一弦弓琴 kse diev あるいはタイの pin pia 。弦を張った棒に共鳴胴としてひょうたんを取り付けただけの楽器です。kse diev は1弦で、pin pia はたぶん3〜4弦。どっちにするか、まだ決めかねていますがまずは共鳴胴のひょうたんをどうするか。

共鳴胴のひょうたんは、当初UFOを使おうと考えていたのですが、物置に放置していた、成長不良で皮が薄くてくびれから上が崩壊してなくなっている大寿の残骸を眺めていると、これを使ってみようかなとひらめきました。薄くてヒビの入ったところを補強すれば使えるような気がします。まずは、崩壊してできた穴のフチを指でちぎって形を整え、穴の周辺と、ヒビの入ったところに和紙を貼ってみました。

まずは穴の形を整えました。指でちぎれるほど薄い。

ヒビの入ったところに和紙を貼る。

ん? 和紙を貼るとなんだかいい感じ。けっこう丈夫になりそうだし、見た目も悪くないやんかと気を良くして、表面全体に和紙を貼ってみようかと思いつきました。よく使い古しの本を襖の下貼りに使ったり、張りぼての箱を作ったりしてるじゃないですか。それをやってみたくなったのです。そうえいば古本屋に積み上がっていたボロボロの1冊100円の江戸時代の和綴本を、あてもなく買っていたのを思い出しました。

清元節?の正本。

話は逸れますがこの和綴本、おそらくは義太夫節か常磐津節か清元節の正本(しょうほん)ではないかと思われます。とにかく文字がかっこいいので買ったのですが、全く読めません。文字同士がビシビシにくっついているし、ホントにコレ読ませるために作られた文字なんかなと思いたくもなります。これを読んで唄っていたんですからね。でも、なんとなく唄の発声のイメージが表現されている書体のような気がしなくもありません。しかもこれ木版ですからね。いや〜すごいですよね、江戸時代以前って。これが今読めなくなってしまっている明治以降の文化の断裂は、やっぱり残念。

あ、横道に逸れてしまいました。閑話休題。ひょうたんにこのボロボロの和綴本を切って貼り付けることにしたのです。袋とじになっているページを切って開くと1枚の紙はホントに薄くて透き通っています。でもとても丈夫です。この紙の品質にも感動します。これを短冊状に切って糊を塗って貼り付けていきます。糊は米粉を水で溶いて鍋で加熱したもの。これもいい仕事してくれました。

短冊に切る。

糊は米粉を水で溶いて加熱。

全体を貼り終えました。

ということで、無事全体に和紙を貼ることができました。見た目もなんだかいいではないですか。旅館の食事に出てくる民芸調の湯豆腐の七輪みたいで。乾くとかなり丈夫になったような気がします。さて表面ができると今度は内側が気になります。どうしましょうか。続きはまた来週。でれろん。

(1193日目∞ 6月24日)