ラヴィ・シャンカールにしてみれば、どっちでもよかったのかも

by 奥田亮

春は名のみの‥‥。ひょうたん栽培予定地(3月10日朝)

ああー、寒いですね。東京でも積雪があったと聞きますので、信州は言うに及ばず、またまたたっぷり目に降ってくれました。3月も10日になろうという時期に雪かきをするとは思いませんでした。そんなことで、3月に入ったら菜園の土づくりを始めように思っていましたが、なかなか始められずにおります。いや、農家の方は雪であろうと始める時は始めるんでしょうが、そこまで根性がありません。今年は去年失敗した大寿に再度挑戦するつもりです。あとは久しぶりに千成を植えようかどうしようか、考え中です。

楽器の改造も一段落。《ヘビオ》は《巌窟王》に転生しましたが、倍音を出すにはまだ微調整が必要です。ブリッジのジャワリがあまり効果を発揮してくれません。かなり微妙な調整が必要なようです。何もせずに放置していても、あちこちの力関係が変わったりなじんだり、温度湿度の加減も影響して弾くたび様子が違います。先週は高い方の弦がビョンビョンと高音の倍音を出していたのですが、今週になると低い方の弦がビンビンいい音を出し始め、逆に高い方が倍音が出なくなりました。いろいろ調べてみると、どうもタンプーラは弦とブリッジの間に細い糸を挟み込んで調整するというようなこともなされているようで、ちょっとやってみましたが、あまり効果はありませんでした。糸の太さや材質をいろいろ試せばうまくいくのかもしれませんが、微調整とはいえ、なかなかゴールが見えてきません。うまくいかない喜びがここにもありました。

ジャワリに紐を挟んでみたり‥‥、効果なし‥‥

そんな意味で、以前ご紹介した自作の通奏低音楽器《びびりんちょ》の、ジャワリを使わず長瓢の天然の曲面を使ってびよょ〜んという音を出す構造は画期的なのかもしれません。

〈びびりんちょ〉の倍音は最強です

《びびりんちょ》はひょうたんで作ったタンプーラだから《ひょうたんプーラ》とも呼んでいたのですが、タンプーラの製作工程のYouTubeを見ると、本場のタンプーラもひょうたん製だということがわかりました。なのであんまりこの呼び名に意味はないですね。

動画を見ると、このインドのひょうたんも、アメリカのひょうたんバンジョーと同様、収穫後に水漬けせずそのまま乾燥させ、使うときに2、3日水に浸けて表面のカビや汚れをこすり取るという方式で加工するようでした。思った以上に皮が薄いのには少し驚きました。ひょうたんそのものには負荷がかからない構造なんですね。

でも、このYouTubeのタイトルは、Amazing transformation of a Pumpkin into Awesome Sitarとなっています。Pumpkin ? 動画中のナレーションではbottle gourdと言っているので、pumpkinとgourdをあまり区別していないのかもしれません。大昔、まだひょうたんに出会っていない10代の頃、来日中だったラヴィ・シャンカールがテレビに出演し、シタールを指して「KA BO CHA !」と言っていたのを覚えています。じつは私、それを見て以来ずっとシタールはカボチャでできているのだと信じていたのです。ラヴィ・シャンカールにしてみれば、どっちでもよかったのかもしれませんね、でれろん。

(1153日目∞ 3月11日)