白いひょうたん揺れる「六角香皿」

by 丸黄うりほ

①京都烏丸二条の香老舗「松栄堂」京都本店

②瀬戸焼の六角香皿の前で「ひょうたんアイ」が激しく反応!

③なんと最後の一点。家に連れて帰ることになりました

先週木曜日の「ひょうたん日記」では、京都先斗町「いづもや」で、長年の念願であった「ひょうたん弁当」をついに頂いたことを書きました。その後、私は丸太町へ行って用事をすませ、天気も良かったのでぶらぶらと散歩することにしました。

烏丸通を南へ下っていくと、大好きなお店である香老舗「松栄堂」の前を通りがかりました。特に買い物の予定もなかったのですが、お店の前まで来てしまうとどうしても素通りできません。(写真①)

「松栄堂」のひょうたんについては、かつて489日目にひょうたん柄の和紙で包まれたお香「ふみか 京小袖」を頂いたこと。また、594日目には大阪本町店で「つまみ香立 ひさご」を買い求めたこと。さらに、631日目にはこちら烏丸二条の京都本店に、ひょうたん型の匂い袋「誰が袖 ひさご 金襴」と「誰が袖 ふくべ」を買いに来たことを書いています。

それから早くも2年以上たっているのですが、私は631日目に書いた『源氏物語』の「夕顔」をモチーフにしたお香とお香立てのセットをまだ入手できておりませんでした。また、その後お店のウィンドーにひょうたん柄の陶製の香炉も見つけたのですが、価格的にもぜいたくな品であり、「見てるだけ」の状態でした。

「夕顔」は、「あのぜいたくな香炉」は、まだお店にあるかしら。「誰が袖」の金襴やちりめん生地は1点ずつ柄が違うし、また別のがあるだろう。見てみたい……。この日、「松栄堂」さんの店内にすうーっと吸い込まれてしまった私の脳内を言葉でスケッチするとこんな感じでした。

私の「ひょうたんアイ」は、まず「つまみ香立 ひさご」、続いて「夕顔」、そして「あの香炉」が定位置にディスプレイされていることを確認しました。よかった、まだある。すぐに目に入ってこなかった金襴の「誰が袖」は、引き出しの中に見つかりました。

外国人観光客の姿もある、心地よく薫るお店のなかを、さらに「ひょうたんアイ」が泳いでいきます。……と、その時!「ガーガー!ピーピー!」というけたたましい音が、私の耳の中でだけ響き渡りました。

それは、瀬戸焼の六角形の香皿でした。黄瀬戸、飴釉、白の三色の無地皿の横に、一点だけ、ひょうたんが描かれたものが並んでいたのです!(写真②③)

「見つけてしまった……!」と「ひょうたんアイ」は力強く言いました。私はその声にぐいぐい押されて、お店の方をつい呼び止めてしまいました。

「あの……、このひょうたん柄のお皿を……」

お店の方は、「在庫確認いたします」とおっしゃり、しばらくして戻ってきて「これが最後の一点になります。現品でもよろしいでしょうか?」とおっしゃいました。なんと、最後の一点。これはもう運命だったということでしょう。

というわけで、瀬戸焼の「六角香皿 瓢」を我が家に迎えることになりました。

ふらふらと、白いひょうたん二つが揺れる香皿は、これから迎える春から夏に大活躍してくれそうな予感です。

(1142日目∞ 2月14日)