【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。

「会社四季報オンライン」が今月(2024年3月)13日に「ザッパラスが占いコンテンツ好調でストップ高買い気配」という記事を配信しました。

「ザッパラス」はスマートフォン向け占いコンテンツ配信事業を展開する会社で、記事は「好調」の理由を「折からの占いブームが追い風として働いている」と分析しています。

そう、どうも今は「占いブーム」のようで、こんなプレスリリース↓を見つけました。

好きな占いランキング!2位は「タロット占い」!1位は?占ってもらう内容や料金も200人に調査

主婦向けの情報メディア「SHUFUFU」が「占い」に関するアンケート調査を実施したところ…
「好きな占いの種類は?」は「手相占い(40%)」が最も多くて、次いで「タロット占い(25.5%)」「四柱推命(14.%)」でした。

タロット占い

プレスリリースより

「占ってもらう理由・目的」は1位が「将来・未来が気になる(25%)」で、2位が「アドバイスをして欲しい(24.5%)」となっています。

占ってもらう理由・目的

僅差ではあるものの将来・未来が気になるというケースが最多。
占いブームはコロナ禍のような体験などをきっかけとした先行きの不透明感の強まりによる不安を反映しているともいえそうです。

だいたい、少子高齢化や地震予測、異常気象、海外情勢…。
メディアを通じて発信される国内外のニュースにふれて希望に満ちたバラ色の未来を思い描くのは容易ではありません。
至難の業といっていいかも。
串カツ屋がない大阪・新世界を想像するくらいに難しい気がします。
もうそれは「新世界やなくて異世界や」というレベルです。
新世界は串カツのテーマパークなのかという気さえして…。
この20年くらいで、通天閣よりも存在感が増している気がするのは僕だけですか?
わけのわからない独裁者があらわれて串カツを非合法にしても新世界には“地下串カツ”とか“裏串カツ”とかで闇で営業する店があとをたたず、警察が摘発してもイタチごっことなる様子が目に浮かぶようです。

あれっ?
話がずれてるか。
占いの話でした。
先行きの不透明感による不安がブームの背景にあるのかも、ということでした。

確かに不安って嫌ですよね。

『不安をしずめる心理学』(加藤諦三著/PHP新書)によると…

「もともと人間が不安に苦しみ出したのは、共同体の崩壊が始まった時から」だそうです。

「人類の歴史を辿ると、共同体から機能集団の歴史になりました。機能集団の一例は、会社などの組織です。一方、共同体というのは家庭などです」

人間は共同体にいること自体に意味が持てたのに、機能集団となると属しているだけでは意味はなく、求められている役割を果たさなければ、必要とされないといい、「人間の社会は共同体から機能集団になったわけですが、この流れ自体が、我々にとって不安な時代に入ったことを意味しています」と解説。

さらに同書は「今は、何も心配せずに『そこにいていい』場所がない。だから、人々は安心できる居場所を求めているのです」と述べています。

同書がいう「不安の時代」のなかで、占いは安心できる居場所を探すツールのひとつなのかもしれません。『不安をしずめる心理学』(加藤諦三著/PHP新書)安心できる居場所って?…と考えて思い浮かんだのがスポーツの応援風景です。

「野球は筋書きのないドラマである」という言葉もあるようにスポーツは“先行き不透明”感が魅力になっています。

普通なら不安の原因になる「不透明」を楽しめてしまうわけです。

勝敗の行方や推しのチームや選手がピンチのとき、到底、安心できる状況ではないのですし、胃が痛くなる局面も少なくありません。

でもファンという共同体に参加して応援すれば、観客席は安心できる居場所といえそうです。
いるだけでもいいですからね。

一方、競技する選手は団体競技の場合、求められている役割を果たさなければ、必要とされない厳しい機能集団に所属していることになります。
競技場のなかでの、その対比がスポーツの醍醐味のひとつかもしれません。

ただ、熱くなりすぎて、ゲームの行方によっては応援する共同体同士の騒動に発展することもありますが、それもまた共同体の特性なのかもしれません。

そんな代表的な居場所のひとつが阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)ですよね。
異論もあるでしょうけど、そこは都合で無視します。

プロ野球・阪神タイガースの本拠地であり、春と夏には高校野球が行われ、とにかくクイズでもダンスでもマンガでも料理でも数学でも漫才でも「甲子園」とつければ、高校生の大会になってしまう。
甲子園って、そもそも地名なのに、どこで開催されても「甲子園」ですよ。
ブランドパワーも半端ない。

それはさておき。

その甲子園球場が今年100周年なんですね。

「甲子園秘話|阪神甲子園球場100周年記念サイト」も開設されていて、同サイトによると…

阪神甲子園球場が完成した1924(大正13)年は、暦の干支を構成する「十干」と「十二支」それぞれの最初である「甲」と「子」が合わさる縁起のよい年だったため、この付近一帯を「甲子園」、野球場を「甲子園大運動場」と名付けました。

…とのこと。

知ってましたか?
僕は知ってましたけど、忘れてました。
「そういえば」と、あらためて思い出しましたけど、これという感慨も驚きもなく…というのが正直なところです。
なので、また忘れそうな気がします。

「甲子園」はもう理由なく「甲子園」なんですよね。
「十干」とか「十二支」とかいわれてもねぇ。
それ以上、それ以下でもないというか。
読売ジャイアンツの本拠地だった「後楽園球場」(東京都文京区)は閉鎖され、1988(昭和63)年に「東京ドーム」が、その役割を引き継ぎましたよね。
そこに「後楽園」への名残りを感じられますか?
「甲子園」はそうはいかない気がしますけど、いかがですか?

最近、ネーミングライツで、競技場の名前だけ聞いても、「あれ、それどこ?」ということが(少なくとも僕には)ありますけど、「甲子園」が別の名前に置き換わるってことは(これも少なくとも僕には)考えられません。
何せ「聖地」とも呼ばれる場所ですからね。

この話はキリがないので、これくらいにして…

余談ですが、当然、甲子園球場完成の年に生まれた方は今年100歳です。
厚生労働省によると昨年(2023年)9月15日時点で日本の100歳以上の方は9万2139人。
今年はさらに増えるのでしょう。

甲子園球場の「施設概要」に収容人員が4万7359人とありますので、みなさんを球場の観客席に招待すると、甲子園球場が2個必要になりますね。
それがどうしたといわれれば、困るのですが…。

もちろん記念すべき年ということで、甲子園球場を運営する阪神電気鉄道(大阪市)が運営するも、こんなプレスリリースを今年1月に出しています。↓

2024年の阪神甲子園球場100周年記念事業について

阪神甲子園球場100周年
いろいろな事業が企画されていて、そのひとつがこれ↓

日本将棋連盟 創立100周年×阪神甲子園球場 開場100周年藤井聡太竜王・名人 VS 羽生善治九段 記念対局が12月8日(日)に阪神甲子園球場で開催決定!

日本将棋連盟が100周年つながりで決定した、という企画。
日本将棋連盟 創立100周年×阪神甲子園球場 開場100周年藤井聡太竜王・名人 VS 羽生善治九段 記念対局
プレスリリースによると…

開催時間や観覧方法、当日開催されるその他のイベント等の詳細につきましては、決まり次第、改めてお知らせします。

とのことですが、アルプススタンドから観戦する対局を想像してしまい…
「どないすんねん!?」という先行き不透明な不安…。ピッチャーマウンドのあたりに置いた将棋盤を間にして対局する、おふたりの姿とか、山形県天童市の「人間将棋」の光景などが頭に浮かび、不安とそれを上回る期待が交錯し詳細の発表が待ち遠しくて仕方ありません。

それから以下のような企画もありました。

阪神甲子園球場100周年記念グッズ“第4弾”を販売 ~名作野球漫画9作品とのコラボグッズや100周年ロゴが入った商品が拡充~

阪神甲子園球場100周年記念グッズ

阪神甲子園球場×株式会社モリサワ 100周年記念共同プロジェクト 伝統の「甲子園文字」を受け継ぐ『甲子園フォント』制作が決定!

阪神甲子園球場×株式会社モリサワ 100周年記念共同プロジェクト

…と多彩ですが、これはほんの一部。
気になる方はプレスリリースをチェックしてくださいね。

2024年もだいたい4分の1が過ぎました。
さてさて今年は、これからどんなことが起こるのか。
「不透明」どころか「一寸先は闇」という言葉すらあります。

不安の原因や理由は人それぞれなんでしょうね。
占いもそうですけど、僕はプレスリリースも未来の方向を探るツールのひとつだと考えています。
つまりとても有効な情報源だということ。
みなさんもさまざまな利用方法を試してみてはいかがですか?
プレスリリースをもとにしたマスメディアの記事とは、また違ったものが見えてくることがあるはず。

高校生たちが自分たちの学校とか地元の魅力を発信する「プレスリリース甲子園」なんてやってくれませんかね。

ではでは、今回はこの辺で、最後までお読みいただきありがとうございます。(岡崎秀俊)