プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。

あっ、そういえば、人間が初めて月に行ったのは、どれくらい前だったんだろう?

…と、ふと思いました。

米国のアポロ11号が人類史上初の月面着陸を成し遂げたのは1969(昭和44)年7月ですから、半世紀以上も前の話で、今夏に52周年を迎えるのですね。

「ポルノグラフィティ」のメンバーにとっては、生まれるずっとずっと前の話かもしれませんが、当時、僕は小学1年生でした。テレビのニュースや新聞で見て「あれ…。まだ行ってなかったん?」と思ったのを憶えています。
だって、マンガやSFアニメの世界では、僕が当時、暮らしていた和歌山から東京に行くよりも簡単に宇宙のいろんな星へ行けてた感じだったんですからね。都会のヒトは月なんか手軽に行ってた気がしてました。「ウルトラマン」のテレビ放送が始まったのが1966(昭和41)年ですからね。

で、この月面着陸以降、オトナたちがよく口にしたのが「人間が月に行く、科学が進んだ、この時代に」というセリフです。

若いヒトには、この言葉の用法がわからないかもしれないので説明しますと…。

このセリフの前後に…。

「幽霊とか妖怪なんかいてるわけがない」
…とか、
「神や仏やなんて迷信や」
…という言葉が配置されるわけです。

子供心に、人間が月に行くことで、どうして、幽霊やら妖怪、そして宗教が否定されるのか。因果関係が理解できず、不思議で仕方がありませんでした。

当時は科学で説明できないものを、スッぱ―ん!と斬り捨てるのことが賢く見えるテクニックだと信じられて、流行(はや)っていたのかもしれません。

なんで、こんことをダラダラと書くのか。それは、このプレスリリースを見たからです(…というわけで、ここまでが前置きになります)。

人工衛星開発のテラスペース、人工衛星による宇宙寺院の開発と打ち上げに向け業務技術提携を実施

プレスリリースによると…。

テラスペース株式会社(本社:京都市左京区、代表取締役:北川貞大、以下、テラスペース)は、世界遺産 京都 醍醐寺(総本山:京都市伏見区、座主:仲田順和、以下、醍醐寺)と人工衛星による宇宙寺院の開発と打ち上げに向け業務技術提携を行いました。

テラスペースは、2023年度打ち上げ予定のIoT衛星内の区画を活用し、人工衛星に宇宙寺院の役割も持たせます。今回の業務技術提携に伴い、人工衛星の開発に加え、醍醐寺と一緒に劫蘊寺実行委員会を発足させ、宇宙寺院の運用と事務局の業務を行います。

ざっくり、まとめると、人工衛星のなかに宇宙寺院が開設されるという話です。

そのお寺は「浄天院劫蘊寺(じょうてんいんごううんじ)」といい、高度400kmから500kmの地球低軌道上で、約1時間半かけて地球を1周。宇宙寺院の現在地情報などはスマホアプリで確認できるようになる予定で、地球を含む宇宙全体の平和と、人類の宇宙での活動の安全のための、宇宙法要が、醍醐寺などで定期的に開催されるそうです。

「人間が月に行く時代に」は、もうずっとずっと前になりましたけど、宗教と科学技術は、当時のオトナの予想に反して密接になってきているようです。もうすぐ月とか火星に神社仏閣ができたり、宇宙空間に霊園・墓地が浮かんだりする時代がきそうですね。

仏教つながりでいうと、こんなプレスリリースもあります。

全国初の試み! 商店街にお釈迦様を迎える!

福岡市博多区の吉塚市場(旧 吉塚商店街)が、地域に多く居住する外国人と地元の共生を図り活気ある市場を目指す「吉塚リトルアジアプロジェクト」。スタートから4カ月、このたび外国人が手を合わせられる祈りの場「吉塚御堂」が誕生します。

…という話で、

吉塚地区にはアジア各国の敬虔な仏教徒の若者たちも多く住み、仏教を心のよりどころとしています。そんな彼らの「日本では私たちが手を合わせる場所が少ない」と言う声を聞き、シーアンドイーが参画する本プロジェクトで吉塚市場に、東南アジアの様式お釈迦様をお迎えし、「吉塚御堂」(Yoshizuka Wat)を建立することにしました。

…ということで、グローバル化する社会を反映しています。

それから…。

SDGs17の目標×仏教(法華経)×人気クリエイターのコラボ 800年後まで残る「世界を変えるキャッチコピー大賞」一般公募

…というプレスリリースは仏教宗派の試みとして新鮮な印象を受けました。

日蓮宗(宗務院:東京都大田区池上1-32-15、宗務総長:中川法政)は、宗祖である日蓮聖人降誕800年 日蓮宗記念事業の一環として、SDGs17の目標と法華経の教えをわかり易く、心に残るように伝えることを目指し、仏教(法華経)の教えとSDGs17の目標、さらには人気漫画家・イラストレーターのコラボレーションによる一般参加型のキャンペーン「世界を変えるキャッチコピー大賞」を2021年2月12日より実施します。

…という試み。

SDGs17の目標×仏教(法華経)×人気クリエイターのコラボ 800年後まで残る「世界を変えるキャッチコピー大賞」一般公募「SDGs17」とは「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」という「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の17の目標のことです。2015年9月の国連サミットで採択されました。

このキャンペーンは…。
大賞作品などの情報が…。

保存性に優れた古来のテクノロジー“和紙”製の巻物に“800年後のプレスリリース”として記され、実際に800年後まで保存し、公開するという一大プロジェクトとなっています。

…というアイデアがポイント。ペーパーレスが進み、情報の記録はデジタルは当たり前になるなかで、“和紙”を活かすアイデアが、ヤルね、日蓮!という感じです。

今年は日本で仏教の興隆に尽力した聖徳太子の「1400年忌」だそうで、こんなプレスリリースもありました。

開催のお知らせ 聖徳太子1400年忌 まち旅シンポジウム2021 『古代史観光の未来展望』

聖徳太子が、このコロナ禍の現代にいらっしゃったら…と、想像してしまいます。開催のお知らせ 聖徳太子1400年忌 まち旅シンポジウム2021 『古代史観光の未来展望』
ちなみに「聖徳太子」といえば、いまだに1万円札が頭に浮かぶ世代です。今回はこれくらいで。(岡崎秀俊)