プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。
世界中が新型コロナに席巻された今年も師走となりました。四季折々の行事が例年とは違ったかたちとなり、季節感が薄ぼんやりとしたまま春、夏、秋、そして冬…。
未曾有の事態となって、街がこれまでにない非日常の風景となっていたはずなのに日々の風景の記憶がのっぺりして“無表情”な感じを覚えているのは僕だけなんでしょうか。
そんな気分のなかで、とても清新な印象を覚えたのが、このプレスリリースです。
京都の有名老舗料亭100余店舗が集結!歴史あるイベント「第115回 京料理展示大会」が今年はオンラインで開催
この展示大会は、第1回の開催が明治19(1886)年だというのですから今から134年前です。
今年が「115回」なので、20回近く開催されない年があったようですが、コロナ禍のなかでもオンラインで実行するわけです。
「千年の古都」といわれ、昔からの建築物や歴史的な伝統行事を今に伝え、「十年一日」どころではないのが京都です。
それをマンネリだということもできるのでしょうが、これまで当たり前だった風景が失われ、マンネリの大切さも再認識されたのが今年でした。
もちろん、マンネリで、このような行事が100年以上続いてきたはずはありません。
実際、プレスリリースによると…。
今まで大会に携わってくださった様々な方々から「こんな時だから開催してほしい」との声をいただき、100余店の組合員の力を結集して「第115回 京料理展示大会」を開催する運びとなりました。(中略)この状況に負けずに京料理の心技と魅力をインターネットを通じて世界に発信することで、伝統と文化の継承に貢献していきたいと考えております。
「ちょっとぶぶ漬けでも」といった京都独特の婉曲な表現をなしにしてストレートに思いを前面に出しているところに並々ならぬ意気込みを感じます。マジで胸が熱くなるほどです。「世界に届け京料理」と心のなかで絶叫したら思わず、リアルに声が出てしまったほど。継続にはマンネリの惰性を超える訴求力が不可欠だと確信させる、感動のプレスリリースでした。
とはいえ、訴求力があっても、コロナ禍のなかで、魅力を発揮する機会が失われているものもあります。
ですから
コロナ禍にある日本全国のライブ関係者にエールを贈る「JAPAN LIVE YELL project」公式サイトを11月5日(木)にオープン!!
…といった試みも大切だと思います。
プレスリリースによると…。
公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会(以下、芸団協)は、コロナ禍により失われた文化芸術鑑賞・参加の機会をどうにかして取り戻したいという、出演者、スタッフ、ファンなどライブに関わるすべての人の気持ちを力強く支援し、後押しする全国規模の事業、「JAPAN LIVE YELL project」に取り組んでいます。
このプロジェクトでは、全国27都道府県から参加した地域色豊かな500本以上のプログラムが実施されるそうで、各開催地のプログラムやスケジュールを紹介する公式ウェブサイトがオープンしました。
また、
コロナ禍、危機的状況でも明るい音楽を届けたい!テレワーク演奏によるミュージシャンたちの挑戦。
…という動きも。
それから!興味がドクドクと湧いてきたのがこれ!
ドキュメンタリー映画『音響ハウス Melody-Go-Round』の豪華レコーディングメンバーによる主題歌が、本日よりハイレゾ配信・サブスク配信スタート!!
プレスリリースによると…。
1970年代~80年代に制作された作品が今、「CITY POP」として世界中から注目を浴びており、当時の制作秘話が語られたり、日本の音楽の歴史を語る上でも最重要となるドキュメンタリー映画の本編ラストに流れる、弱冠13歳(レコーディング当時)のVocal HANAを筆頭に、音響ハウスを愛してやまない豪華ミュージシャンによってレコーディングされた素晴らしい楽曲を是非ご堪能下さい。
70~80年代の日本の楽曲が世界で注目を浴びているというのは、その年代に10代20代だった自分には感慨深いですが、裏方の舞台であるレコーディングスタジオに光を当てた試みが、このコロナ禍下で展開されるのも興味深い。
「コロナ後」の世界では、日本の音楽界が、マンガ・アニメ以上にグローバルな展開を見せそうな予感です。
それだからこそ、今、そんな芽が摘まれてしまわないようにすることが大切なんでしょうね。
そんな行動は人それぞれの状況によって百人百様・千差万別。種をまかずに実がなることはありません。
まだまだ、紹介したいプレスリリースはありますが、今回はこれくらいで。あなたも企業や団体からのメッセージをストレートに受け止めることができるプレスリリースの数々を探訪してみてくださいね。
(岡崎秀俊)