プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。

今回、まず気になったのが、このプレスリリースです。

相撲好きの、相撲好きによる、相撲好きのための 濃厚相撲トークイベントがオンラインになって帰ってきた! 【オンライン相撲トークイベント】帰ってきた『抱きしめてツナイト』開催!

相撲好きの、相撲好きによる、相撲好きのための 濃厚相撲トークイベントがオンラインになって帰ってきた! 【オンライン相撲トークイベント】帰ってきた『抱きしめてツナイト』開催!力士の体から湯気とともに汗が飛び散りそうな暑苦しい“密”な感じが「オンライン」というワードで適度に薄まっていますね。プレスリリースによると…。

相撲好きなお笑い芸人や元力士の相撲漫画家、相撲好きアイドルに加え、スペシャルゲストとして「事件です!」のフレーズでおなじみのレポーター・俳優の阿部祐二さんをお迎えし、相撲ファンはもちろん、相撲の初心者の方でも、観れば相撲が絶対にもっと好きになる!そんなトークをオンラインで繰り広げます。

出だしから一気に句点なしに143字。「事件です!」の阿部さんが出演するより、ショッキングな「事件」をこのプレスリリースのなかで見つけてしまいました。

何と!です。このイベントを主催する「阪神コンテンツリンク」(大阪市福島区)という会社は、阪神電鉄が100%出資する子会社なんです。

阪神電鉄といえば、阪神タイガースの親会社
……そう野球です。
阪神コンテンツリンクのウェブサイトを見ると…

「阪神コンテンツリンクでは、『Billboard』『阪神タイガース』など、阪神グループの持つ様々なコンテンツを集約し、発展させる役割を担っております」

…と、ビシーッと書いてます。
でも「帰ってきた『抱きしめてツナイト』」というドスコイなイベントに阪神グループの匂いが感じられるでしょうか?

「Billboard」と「阪神タイガース」にも脈絡はないですけど、同社のウェブサイトによると…。

「阪神コンテンツリンクは、平成18年8月24日、ビルボードブランドの日本における独占的マスターライセンス契約を締結し、当ブランドの全ての総代理店として、様々な分野でブランド開発、展開を行っています」とありますから、これは「よし」としましょう。

気になるのは「何で相撲なのか?」っていうこと。
頭のなかを力士の大群が甲子園球場のダイヤモンドをすり足で移動していく光景がループします。

捜査本部を設置して真相究明したいくらいです。

どなたか、ご存じの方がいたら教えてください。

で、次はこれ!

第一回 京都文学賞 優秀賞受賞作『屋根の上のおばあちゃん』11月1日に刊行決定!出版イベントも開催!!

えっ「京都文学賞」って、いかにもありそうで、紫式部が初代受賞者でもおかしくない印象なのに「第一回」…。第一回 京都文学賞 優秀賞受賞作『屋根の上のおばあちゃん

それはさておき、受賞者は藤田芳康さん。神戸大学卒業後サントリー制作室にコピーライターとして入社し、京番茶のCMなどを演出されたそうです。1998年に脚本『ピーピー兄弟』でサンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞し2000年同名の映画を自ら製作・監督されたので、ご存じの方も多いでしょう。

サントリーといえば作家なら開高健さんや山口瞳さん、イラストなら柳原良平さんや佐々木侃司(ささき・かんじ)さんといった方々を輩出しています。

いずれも戦後の日本文化の一翼を担った方々と表現しても過言ではありません。

そのサントリーからコロナに令和に時代に作家が登場したわけです。

1957年のお生まれなので今年63歳。高度成長期からバブル経済の崩壊、そして新型コロナウイルス禍を体験する人物が、先行き不透明な現代をどのように表現されていくのか。注目しています。

京都文学賞が第1回なら、こちらは「第18回」。微妙な数字で、日本人なら選挙権がある年齢(?)で、子供じゃないけど大人でもないというイベントのプレスリリースのタイトルがこれ!

2020年度「第18回関西文化の日」

2020年度「第18回関西文化の日」
こんなご時世なので“密”を避けたのか?
堂々として貫禄すら漂う潔さです。

相撲好きの、相撲好きによる、相撲好きのための 濃厚相撲トークイベントがオンラインになって帰ってきた! 【オンライン相撲トークイベント】帰ってきた『抱きしめてツナイト』開催!

…とは対象的です。

でも、中身はびっしり。プレスリリースによると…。

関西2府8県のエリア内の美術館・博物館などの文化施設の入館料(原則として常設展)が無料になる「関西文化の日」が今年も開催されます。

「いつから関西は“8県”になったんやぁ」という細かいことは抜きにしましょう。18回の歴史を重ねるうちに成長したんだと思います。

参加施設数が10月21日の時点で413施設もあるので、もう細かいことは言ってられないんですよね。

あれこれいうと不公平にもなるのかもしれません。

だから…
ドンと、

2020年度「第18回関西文化の日」

「なにも足さない。なにも引かない。」

サントリー「山崎」のコピーのようですね。

では今回はこれくらいに。

by 岡崎秀俊