デザイナーの長岡綾子さんが、2015年にデザイン事務所を開いた奈良市内で、3月31日、アートブック書店「BO/OK」をオープンしました。(「BO/OK」のInstagramへ)
長岡さんがセレクトした国内外のデザインやアート系の新刊書籍を販売するほか、ギャラリーも併設し、本を購入したお客さんが休憩できるスペースもあります。
企画展を行っていくギャラリーでは、こけら落としとして、店主である長岡さんの展覧会を4月15日まで開催。長岡さんの作品に《Sweets from the Home Improvement Store》というアートブックがありますが、これは、ホームセンターで購入した日用品を、お菓子に見立てて、すてきにパッケージングして撮影、62ページの本にまとめたもの。ギャラリーには、パッケージとお菓子(じゃないけど)そのものが展示されています。
この作品のポイントは「おいしそう」だということ。スポンジとかゴムとかヤスリとか、ぜんぜん口に入れたくないものなのに、チョコレートとかカステラとかキャンディーとかおいしそうに形づくられて、さらにおいしそうに見えるようデザインされた紙や箱に包まれて、おいしそうに撮影されて、おいしそうな本に仕上げられているのが、長岡さんの眼力と想像力、そしてデザイン力のなせるわざ。
アートブック書店「BO/OK」は日曜と月曜の週2日だけのオープンです。お店の奥はデザイン事務所になっていて、ほかの曜日は長岡さんがデザイン業務に勤しんでいるため、店はお休みです。展覧会『Sweets from the Home Improvement Store』を見たいとなると、4月7日(日)・8日(月)・14日(日)・15日(月)の午後1時から6時まで。
ところで、店名の「BO/OK」に入っているスラッシュ「/」にはどんな意味があるのか、と長岡さんにたずねてみました。
「アートブックは “余白、隙間があることにより想像力を刺激される本” だということ」が一つ。それから、「いろいろな関係の間にある存在として、例えば以下のようなことを考えました」として、次の三つをあげてくれました。
“文字や図像が印刷された情報という存在と、モノとしてのオブジェの間”
“紙という薄い平面が重なることで立体になるという、2次元と3次元の間”
“量産された商品と、1点ものの作品の間にグラデーション的に位置する存在”
お店にあるアートブックも、長岡さんの作るアートブックもそんな「/」のような存在というわけですね。
さて、長岡さんがコマをまわしてくれた、お店にある大きなテーブルでは、本作りに関連する教室や講座を行っていくのだとか。第一弾は、製本教室。受講すると糸綴じの本が出来上がるそうです。興味ある方はぜひ。
by 塚村真美
「BO/OK」奈良市東城戸町28 (日&月曜 13—18時 open)
https://www.instagram.com/bo_ok_art/