朝ごはんを食べながらNHK連続テレビ小説を横目で見ていたところ、急に時代がとんで、第2世代となり、濱田マリちゃんがクリーニング店の愉快なおかみさんとして登場。毎朝楽しみに起きるようになりました。すると、今度はオダギリジョーが登場。朝っぱらからオダギリジョー。朝ごはんの時間が急にリッチなテイストになってテレビから目が離せません。

さて、バターリッチなオダギリジョーですが、ドラマの中で「サッチモちゃん」と主人公のことを呼びます。サッチモとは、ご存知ルイ・アームストロングのことで、レコード屋さんに行ったシーンでジャケットが映し出されました。そこで、「うちにもあったな、サッチモ」と思い出したのが、このチラシです。

このチラシはどこにあったのかというと、ずっと『樋口一葉全集第二巻』に挟まっていました。きれいな装丁の本があるなあと思って、父の本棚から拝借し「大つごもり」や「たけくらべ」を読んだのは、いつの頃だったかもうわからないのですが、「たけくらべ」の最後のシーンに、凍りつくほど切なくなり、以来、自分の本棚に置いて大事にしてきました。

最初にこの本を開いた時から、このチラシが挟まっているのは知っていました。本の裏表紙をめくったところに書店のシールが貼られているのも知っていました。シールには「毎度有難たう御座居ます 丸物書籍部」とあり、丸物で買ったことがわかります。「丸物」というのは京都駅前にあった百貨店で、「京都近鉄百貨店」の前身の名称ですが、父も母も祖母も親戚のおじさんおばさんも、近鉄になってからもずっと丸物と呼んでいました。近鉄百貨店もなくなって、いまはヨドバシカメラが建っています。

大学時代に父は丸物で本を買い、駅前とかでもらったチラシを半分に折って、しおりにしたのでしょう。聞いたこともなく、すでに故人となって久しく確かめようもありませんが。自分の本も久々に開くと、昔のレシートやポストカードが出てきて懐かしいことがあります。

このルイ・アームストロングとオールスターズがやって来た12月17日とは何年のことかな?と、検索してみたら、1953年ということがわかりました。初来日だったようです。本の発行年は「昭和二十七年十一月十五日」とあるので、その前年の1952年の11月以降に購入して、翌年の暮れまでの間に読んでいたと思われます。父は昭和八年生まれなので、1953年はちょうど20歳、やはり大学生の時のことでした。

ところで、朝ドラのジョーはいくつなのかな?サッチモちゃんは1944年生まれで、ドラマは1962年だから18歳、それより年上でお酒も飲んでそうなので20歳代だけれど、もし1935年生まれで27歳の設定なら、1953年は18歳なので、1953年の初来日コンサートを京都か神戸で見ているかもしれない。

ジョーは見ていなくても、第一世代の世良公則扮するジャズ喫茶のマスターは終戦後の進駐軍のパーティーで歌ってたぐらいなので、見たんじゃないかな、見ていてほしい。なんてったって、店の名前が、ルイ・アームストロングの、サッチモとは別の愛称「Dipper Mouth」だったから。あれ、あの時の進駐軍のライブに紛れ込んでた少年が、ジョーなのか?とすると、1945年に10歳くらいだったから、あれ~、きっとそうに違いない。きょうは岡山弁がどうとか言ってたし(想像)。

いや、まあ、ともかく世良公則とオダギリジョーが、この1953年のルイ・アームストロング来日時にどこかの米軍キャンプとかで生演奏を聞いていたとしたら、うれしいなと思いました。

このチラシ、じっくり見ると、京都の松竹座で一日限りとあるけれど、開演時間は3時半、6時、8時半と、3ステージもあって大変そう。この後、12月31日の横浜でのコンサートはCDにもなっています。配信もあります。

LIVE IN JAPAN – THE YOKOHAMA CONCERT,DECEMBER 31,1953

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by 塚村真美