きょうのサルスベリ:2020年7月26日(雨)シロバナサルスベリ

 

サルスベリが雨に濡れて低く咲いていました。

台風で根こそぎ倒れたサルスベリを、もう要らないというので、切り株をもらってきて、庭の隅に植えておいたのが咲いたのです。ひこばえがついていたからそのうち伸びる思っていたら、びゅんびゅん伸びて二年目のこの夏、花をつけました。

白いサルスベリはシロバナサルスベリという名前らしく、花は赤いのが基本。サルスベリは和名で、別名を百日紅(ヒャクジツコウ)といい、漢名にも百日紅の名前があるようです。百日かどうか夏じゅう咲き続け、赤い色は濃い青空と白い雲に映えて、暑さがいや増します。白い花は黒い瓦屋根によく似合って、涼しげです。梅雨明けを告げるようにぱあっと咲きますが、今年はなかなか梅雨が明けないので、雨の中で咲いてきました。白い花なら雨も似合います。

サルスベリが高いところで揺れている様子は知っていても、花の一つひとつを見ることはこれまでありませんでした。幸いにも今年は目の高さで咲いています。花びらはしわしわで六つが離ればなれについていて、雄しべには黄色い葯がたっぷり乗っています。調べるとこれは見せかけの雄しべで花粉はなく、ただの虫寄せとありました。英名はCrape myrtleといい、クレープはパンケーキではなくてコットンクレープなど「しぼ」のある布からきているようです。

和漢洋の花の名前をくらぶれば。漢人は時間軸で花木を眺めてその名をつけ、英人は接写するように花を見てつけたことになります。では、和人は。なんとしたことか花を見ずに幹を見ていたのです。「つるつるして猿が滑りそう」だからサルスベリとは。日本には江戸時代に入ってきたらしく、江戸っ子のおっちょこちょいの植木屋が、花より幹を売りにしてそう呼んだのでしょうか。あるいは材木屋か、大工か。うーむ、目のつけどころが違う。

  散れば咲き散れば咲きして百日紅 千代女

千代女は江戸中期の俳人、さすがの観察眼です。百日というものの、じつは花は一日花。朝に咲き夕べには散る。つぼみが連日次々に咲いていくので、ずっと咲いているように見えるのでした。杉浦日向子さんは、作品「百日紅」の題を、この句から採ったそうです。その花のしたたかさに、主人公の北斎の娘の像が重なったと。

赤い花で句を読めばしたたか。白い花で読めばはかなくもあるけれど、文字通り紅で読むべきでしょう。炎天が待ち遠しい。杉浦さんが亡くなったのは、七月のサルスベリの花が咲くころでした。

(7/26/20)

by 塚村真美