五叉路に建つ不思議なひょうたん物件
by 丸黄うりほ
昨日の続きです。近鉄瓢箪山駅の北側に伸びる「サンロード瓢箪山」で、大好きだったゆるキャラ「せんなりくん」と再会した私。すでに第一線を退いた「せんなりくん」との邂逅は感動的でしたが、シャッターの絵(平面)と抱き合って泣いてばかりもいられません。私は当初の目的だった未見のひょうたん物件を探し求めて、さらに商店街を北へと歩いていきました。
商店街のアーケードの最後にファミリーマートがありました。その前は複雑な形をした交差点になっており、よくみると五叉路。5つの方向へ伸びる道路の真ん中が島のようになっており、その島の中央に……! (写真①)
その物件は、サイコロのように真四角でした。屋根の上に、黄緑色をした大きなひょうたん型のオブジェがのっかっています! (写真②③)
ミントグリーンの扉にも、ひょうたん型をした窓が見えます。さらに、建物の周りを、ひょうたん型をした車止めがぐるりと取り囲んでいました。探していた物件はまさにこれ。(写真④⑤)
さすが瓢箪山……!
としか言い表しようのない、くどいほどのひょうたん濃度です。いったいこれはなんのための建物なのでしょうか?
近寄ってみると、扉の横に「瓢箪山安全安心ステーション」と書かれていました。頭上には赤い丸いランプ。なかに人の気配は感じられませんでした。しかし、おそらく交番か、交番に準じた施設ではないかと思われます。
素晴らしいですね!こんな物件に毎日勤務できるお巡りさんが羨ましいです!
もし建物の中に誰かがいらっしゃったら扉を開けてもらって、「すみません、道に迷っちゃいました。瓢箪山稲荷神社へはどの道を行けばいいですか?」とか尋ねながら、室内にもなんらかのひょうたん物件が飾られていないか、ひょうたんアイを見開いてチェックしたかったです。
まあそれは今回かなわなかったのですが、キューブ状の建物の横に「道路改修記念」と彫られた石碑があるのに気がつきました。さらにその横には「東高野街道・道路改修記念碑」という東大阪市教育委員会による説明文も立っていました。(写真⑥⑦)
それによると……。この五叉路のうち、北東へ伸びている道は、もともと「東高野街道」と呼ばれていたらしく、この場所にはその里程標があったのだそうです。「東高野街道」は、京都の東寺から伏見を経て木津川を渡り、洞ヶ峠を越えて旧河内国に入り、生駒山麓の西側を経て大和川を渡り、さらに南下して高野山へと至る街道。12世紀に開かれた巡礼の道だったそうです。
ここに「東高野街道」があったからこそ、人が行き交い、物流があり、古くから街が開けた。瓢箪山稲荷神社の創建は16世紀と伝えられていますから、おそらくそれも街の繁栄とともにあったのでしょう。
ひょうたん物件がたくさんあって、それだけでもひょうたん好きにとって瓢箪山は特別な街ですが、こんな歴史を知るといっそう興味がかきたてられますね!
余談ですが、この「ひょうたん日記」を書くためによくみたら、写真②の背景に写っている「東高野街道」沿いに、「手作りコロッケ ひょうたん」と書かれた赤い看板があるのに気がつきました。
この先に、こんな店があったのか!また近いうちに瓢箪山に行かねばなるまい!
(910日目∞ 1月19日)