超絶可愛い!未確認飛行物体と妖怪たち
by 丸黄うりほ
未確認飛行物体=UFO。そんなミステリアスな品種名のひょうたんがあります。今年、我々の仲間であるヒョータニストさんのお宅で育ったUFOたちは、その名にふさわしい大変ミステリアスな成長を遂げました。きょうは、そのUFOたちのその後を中心にお伝えしていきましょう。
まずは兵庫県淡路島のヒョータニスト、ヒロミさんのUFOから。
ヒロミさんは去年栽培したUFOの実からタネを自家採種して、畑と2つの鉢植えに植えました。畑に植えた苗には3個実がつきましたが、どうもその形がおかしい。UFOは、ひらべったいカボチャのような形、つまりその名の通りの形をした実がつくはずなのに、なぜか全然違う形の実がなった。ヒロミさんは発覚当初、キュウリと交雑したんじゃないかというとんでもない疑いを抱いていましたが……、実が成長してくるに従って、その「お父さん」がはっきりしてきた。そう、その実は完璧な「お父さん似」の子だったのです。
その容姿から、去年横で栽培していたハワイ出身のひょうたん・イプが、ヒロミさんの見ていないところで雄花を咲かせ、UFOの雌花とランデブーしたということは確実となりました。
ところが、またまた不思議なことに、鉢植えにしたほうのUFOの実は、それとも形が違いました。1つはまあ標準的なUFOの実に近い丸い形だったのですが、1つはなんとも変な具合に歪んでいる。それらの実たちを収穫し、全員集合させた写真が①です。
UFOとイプのハイブリッドたち、全員めちゃくちゃ可愛いですよね。特に右手前の歪んだ子、ちょうどいいところにタネ出しの穴を開けてもらって、口をとがらせたヒョットコみが感じられます。こんな実は作ろうと思って作れるもんじゃない!ヒロミさんが本気で羨ましい!
イプ似の実のほうは、なぜか乾かすと上の方が茶色くプリンのようになりました。その部分は皮もむきにくかったそうです。なぜこんなことに?これもミステリアスですね。
先ほど全員集合写真と書きましたが、イプ似の実は本当はもう1個できていて、その子はすでに次の瓢生へと転生を開始していました。
写真②③④をご覧ください。これがイプ似UFOのメタモルフォーゼ途中の様子です。ヒロミさんとともに「アート&デザイン工房 WILL」を営んでおられる藪田洋嗣さんが、ただいま一絃琴を製作中なのです。
藪田さんによると、「家にあったなんかの柄を中通しに使い、ひょうたんのフォルムを生かしてシンプルに作る予定」ということですが、お仕事が丁寧かつ本格的。すごくいい楽器が誕生しそうな予感がします。できたらどんな音がするか聴かせてくださいね。
さてさて。もう一つのミステリアスUFOは、東大阪市瓢箪山のフェイ・ターンさんの収穫からです。
メルカリで「UFOのタネです!」と書かれたタネを購入し、まいてみたフェイ・ターンさんでしたが、こちらも実ができてみるとなんか違う?形はカボチャのようで、まあUFOといえなくもなかったんですが、表皮の色がアメリカや台湾のひょうたんに見られがちな、濃い緑色に白いまだら模様で、品種として流通しているUFOの薄い緑色とはだいぶ違っていました。
おそらくこちらもUFOと何か別の品種が交雑したものだったのでしょう。収穫して水につけてみると「なんだか甘い香り」がしたそうで、台湾食用ひょうたんあたりが本当の「お父さん」なんじゃないかという気がします。
このエセUFOには実が2つでき、フェイ・ターンさんに「えんじぇる1号・2号」と名付けてもらいました。水浸けの際に皮がむけ、乾かすと模様は消滅。これでようやく怪しさが減ったかなと思ったのですが、フェイさんはこの子たちの容姿をかんがみて改名を宣言。新しい名前は「波平1号・2号」だそうです。まあ、この姿ですから、確かにそっちのほうが似合っていますね……(写真⑤)。
それにしても、波平たちを含むフェイ・ターンさんの2022年の収穫は、すばらしいものとなりました!写真⑥をご覧ください。大小さまざま、形もいろいろ。まるで大家族のような賑やかさです。おめでとうございます!
どのひょうたんも全部可愛いのですが、特に息をのむほど可愛いのが、最後まで残っていた未熟な千成ひょうたんたち(写真⑦⑧)です。
この姿のままで、かっちり固く乾いたそうで、まるで妖怪のフィギュア!
ツウは「しぼみ瓢」とも呼ぶこの手のひょうたん、これも意図して作ろうと思って作れるもんじゃない。まさに天からの贈り物。いいな、いいな。フェイ・ターンさんが本気で羨ましいー!!
(897日目∞ 12月22日)