ナガユウガオは、ほとんどひょうたん
by 丸黄うりほ
ひょうたんの挿し木に成功した、和泉市のヒョータニスト・ヤマミーさんから新しい写真が届きました。きょうはその紹介をしていきたいと思います。
9月の台風でやむなく剪定したひょうたんの蔓を花瓶にさしておいたら、根が出てきた。それで、その蔓を10月3日に植木鉢に植えてみたヤマミーさん。ひょうたんが挿し木できる植物なのかどうか、今まで私が確認した園芸本やネット記事などには一切記述が見つかりませんでした。
それが、うまく根付いて花まで咲いた!ということをお伝えしたのが、11月4日の「ひょうたん日記」です。ひょうたんが挿し木できる植物だったという発見に、私は胸がおどりました。そして、その後どうなったのか、ずっと気になっていたのです。
写真①②をご覧ください。写真①は、小さいけれどすべてのパーツを揃えた雌花のつぼみです。写真②では、手前に大きな雄花が、奥に小さな雌花が咲いているのが見えますね。そう、雄花と雌花が同じ日に咲いて、この花たちはランデブーを成し遂げたのです。
しかし、残念ながら結実することはできませんでした。結局、挿し木のひょうたんには実がならず、11月下旬にヤマミーさんが法事で九州に行って帰宅すると枯れていたそうです。
それにしても。ひょうたんの最盛期は夏、だいたい9月ごろまでですから、11月下旬までもってくれたというだけでもすごいです。もっと早い時期に挿し木を行なっていたら、どうなっていたでしょう?ヤマミーさんには、来年もぜひ挿し木実験を続けてほしいと思います。
通常のひょうたん栽培のほうも、先日すべての実を収穫して終了したそうです。写真③は、9月の剪定後に新たに実った百成ひょうたんたち。ヤマミーさんが三重県いなべ市のヒョータニスト・ふじっこさんからもらったタネから生まれた百成で、さらに先祖をたどれば岐阜県養老の「ひょうたんらんぷ館」で配ってらしたひょうたんの子孫です。
その系統に特徴的な強いくびれが、このひょうたんたちにも現れていますね。特に写真左のひょうたんは、アフリカでも見られる亜鈴型の品種にも似たはっきりとしたくびれを持っています。ひょうたんの形の遺伝についても、ヤマミーさんの栽培には興味深い点が多いです。
写真④は、その百成ひょうたんが最期のほうに咲かせた花。なんと双頭の花です。シーズンオフ、栽培末期のひょうたんには変わった形の実ができることが多いのですが、花も変わったのが出てくるんですね。どうしてそんなことになるのか?これについても、ちゃんと調べると面白そうです。
9月に収穫したひょうたんたちは、無事に乾燥まで終わりました。その全員集合が写真⑤です。いろいろな形、大きさのひょうたんがあって賑やか!見ているだけでも楽しいですね。
特に気になっていたのがナガユウガオだったのですが(写真⑥)、ヤマミーさんによると「乾燥させたら皮もしっかりしている」とのこと。この形をみて、私はギロを作ったらぴったりなんじゃないかと思いました。
一般に、ナガユウガオのタネは実を食用にする野菜の一種として、ひょうたんとは完全に分けて売られています。乾燥させてもひょうたんより皮が薄いのかなと思っていたのですが、どうもそうではなさそう。湯浅浩史先生のお話でも、ユウガオとひょうたんは同種だとおっしゃっていたので、ユウガオをひょうたんとして栽培してみるのもありでしょうか?俄然興味がわいてきました!
ヤマミーさんは、ひょうたん、ナガユウガオのほかに、今年はタチアオイの栽培にも挑戦されていました。このタチアオイが思いがけなく二年草だったために実験目的は果たせませんでしたが、うまく越冬させて来年こそ実験結果を出していただけたらと思います。
ヤマミーさん、ひょうたんたち。春からの9カ月間、お疲れ様でした!
(896日目∞ 12月21日)