真理さんのシェケレ③宝石をまとったお姫様たち
by 丸黄うりほ
⑦「西遊記赤瓢箪」
坂本真理さんは民族楽器と古楽器による楽団「ぺとら」をはじめ、さまざまなミュージシャンとのセッションや、無声映画上映会の音楽担当などでも活躍されている音楽家。幼稚園の先生をされていたこともあり、リトミック教育の先生でもある。とにかく才能のかたまりのような方です。
シェケレに関しては、プロのミュージシャンからオーダーを受けて、デザインや見た目のイメージはもちろん、音質やチューニング、ディレイなどにこだわった楽器をいくつも製作されています。坂本さんは絶対音感の持ち主でもあり、ひょうたんがもともと持っている音程を、ビーズや糸の違いによってコントロールしていくのだそうです。
そして、意外にもシェケレが盛んなブラジルへの渡航歴はないそうです。そのことをご本人は気にされていたこともあるそうですが、私はそれがかえってすごい。坂本さん独自の楽器の解釈や製作につながっているのではないかと思いました。
外国のシェケレを直輸入したものではない、オリジナリティあふれるデザイン。その宝石のようなビジュアルの美しさは、このページに貼った写真を見てもらうだけでも感じられると思います。音に関しては想像してもらうしかないのですが、一つひとつ名前がついているのでイメージが広がりますよね。
写真のシェケレを上から順に紹介していきましょう。
写真①「mビーチリゾート」は、カラカラとした潮風のような音が出ます。模様の異なるアソートビーズと麦わらのような色糸が夏っぽい。
写真②「sアクアマリン」は、小ぶりひょうたんですが音は大きめ。ギターの先につけて演奏したり、ダンスに使ってもアクセサリーのように素敵。
写真③「玉虫さん」は、弾力性のある力強いビーズを使用し、大音量なので野外での演奏にも向くそうです。くびれの強いひょうたんはとても優美でもあります。
写真④「ティアードロップ」は、極小ビーズと絹糸で編んだ風鈴のようなシェケレ。さわさわ、そよそよとしたサウンドスケープが得意。
写真⑤「スノーホワイト」は、女優のグレタ・ガルボをイメージしたのだそう。木綿細糸と極小チェコビーズを使用した、とても繊細な作品です。
写真⑥「スマッシュ」は、坂本さん自身のステージ演奏用シェケレ。ほとんどディレイのないスマッシュ音が奏でられるのが特徴。少し首を傾げたひょうきんなフォルムもいいですね。
写真⑦「西遊記赤瓢箪」は、幼稚園のおゆうぎ会劇の「西遊記」で繰り返し使い、修復を重ねた古いひょうたん。ボディも糸もビーズも赤一色で、とてもかっこいい。
そして、写真⑧は、「太陽系シリーズ・地球」です。太陽系の惑星を全種類シェケレで製作したうちの、地球がこちら。真っ青なボディに、種類の異なるカラフルなビーズをあわせた美しいデザインです。
なんとこの「地球」、坂本さんが京都に持ってきて、「誕生日プレゼントです!」と私にくださったのです!!
かけがえのない「地球」。宇宙にひとつしかない「地球」。他にはない貴重なシェケレ。初対面の私に、こんな大切な子を預けていただいてよかったんでしょうか……?
ひょうたんが導いてくれたご縁を大切にしなければ。坂本真理さん、本当にありがとうございます!!
(893日目∞ 12月16日)
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※次回894日目は奥田亮「でれろん暮らし」、12月19日(月)にアップ。
895日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、12月20日(火)にアップします。