ひょうたん仕舞いは重労働

by 丸黄うりほ

①複雑に絡みついた蔓を、べりべりと引き剥がします

②枯葉を拾い集めるのもなかなかのお仕事

③栽培ネットは1年ずつ捨てることにしています

④親蔓にできた古傷。本当によく頑張った……!

⑤千成ひょうたん「ネルウァ」の根。植物の頭。

昨日の「ひょうたん日記」で、ついに我が家の千成ひょうたん「ネルウァ」の実を収穫したことをお伝えしました。もしかしたら100個くらいできたかもしれない実を、じっくり観察したいところですが、その前にやらねばならないことがあります。

それは、ひょうたん仕舞いであります。

ひょうたんは蔓植物。複雑に絡みついているので、ハサミで切るのもなかなか難しい。特に今年のひょうたんはほとんど枯れてしまったため、枯葉がばさばさとはがれて落ちます。マンション階下のお家になるべく迷惑をかけないように、ベランダの外側に伸びた蔓を内部にぐいっと引っ張って取り込んでから、内側で切るようにしました。結構神経を使うし、変なところに力が入ります。ふだん運動不足なので、身体の使い方が下手なのでしょうな……。

蔓をネットに留めているビニタイを剥がすのも、なかなかに面倒です。来年はクリップタイプに替えたほうがいいかも。……などと、自分で自分の行為にツッコミを入れながら。

そんなふうにして取り込んだ蔓は、45リットルのゴミ袋3つ分にもなりました。(写真①)

蔓を取り込んだ後は、ベランダに散り散りになった枯葉をしっかりとホウキで掃いておかねばなりません。風が吹くとふわっと舞い上がり、これまたご近所に迷惑をかけます。(写真②)

このへんで、12月だというのに汗だくです。次は、ネットを剥がしていきます。以前は、使ったネットを翌年も使いまわしていたことがあるのですが、ひょうたんには連作障害を起こす恐ろしい伝染病があり、それが土だけでなくネットなどの資材にも残るということを知ってからは、たとえ病気が出なかった年でも捨てることにしています。うちの場合、ネットを紐でラティスにくくりつけているので、その紐を一つずつ切るのも面倒なのですが、ここはきちんとやらねばなりません。(写真③)

ラティスのように毎年取り替えられないもの、プランターのように処分の大変なものは、次の植え付けまでに2、3回消毒をすることにしています。やりすぎと言われてもやります。これは、毎年同じ場所でひょうたん栽培を続けるための生命線であるし、私のヒョータニストとしての矜持でもあります。

さて。私はここまでの作業が終わるまで、千成ひょうたん「ネルウァ」の親蔓だけをプランターに残しておきました。半年以上頑張ってきた、ひょうたんの大動脈。

この部分は安易に引きちぎれないのです。なんというか、遺骨のような感じがする。たとえばお経をあげるとか、なにか儀式をやってからでないと切ってはいけないような気がするのです。

とくに、今年は子蔓が伸び始めたころに、親蔓の真ん中がぱかっと裂けるという事故が起きました。

今から省みれば、子蔓を左右に伸ばそうとして引っ張りすぎたために、親蔓にテンションがかかってしまったのだと思います。しかし、もしかしたら蔓割れ病にかかったのかもしれない、もうこれで今年は終わりか、とすら思いました。

その親蔓の裂け目には、ニューメデールという接木用のテープを巻きつけました。このテープが本当に素晴らしかった。蔓は成長とともに太くなっていきますが、このテープは非常によく伸びる材質でできていて、蔓を締め付けないのです。その裂け目は、今から見ると古傷というよりも、頑張った「ネルウァ」の勲章のようです。(写真④)

「ネルウァ」に感謝のことばを告げて、私はその根をぐいと引っ張りました。土はまだ湿っていて柔らかく、たいして力を入れなくても抜けました。ここが、植物の口であり、頭であり、脳なのです。(写真⑤)

(887日目∞ 12月8日)