ひょうたんと酒と鶏に囲まれて「ひさご酒店」
by 丸黄うりほ
天神橋筋三丁目商店街を西へ入ったところに、ずっと気になっていたお店があります。
ひょうたんマークの暖簾に、「ひさご酒店」という店名。「炭火焼きと知覧鶏」とも書かれています。
お店の前を通るたびにちらりと横目で存在を確認しては、「鶏料理屋さんなのかな? 一緒に入ってくれるお酒と鶏が好きな人はいないかなぁ」などと思っていたのですが、先日やっと伺うことができました。
ときどきしながら暖簾をくぐると、カウンターと12席ほどのこじんまりとした店内で、ご主人がひとりで仕事をされているのが見えました。メニューはお任せで、それを頂いてから他の料理を注文するシステムになっているとのこと。たくさん種類がある飲み物のなかから、私は新潟の地酒・萬寿鏡(たぶん。酔っ払ってしまってちょっと自信がない)をオーダーしました。
時間が早めで他にお客さんがまだいらっしゃらなかったので、私はいちばん気になっていたことをご主人に聞きました。
「どうして、ひさごなんですか?」
すると、ご主人曰く「ひょうたんが好きだからです!」
ひょうたん(ひさご、ふくべも含む)という店名や商品名、デザインになどについて、この質問をすると、いちばん多く返ってくる答えは「ひょうたんが縁起物だから」というもの。次に多いのが京都・大阪に限定すると豊臣秀吉の馬印に関することです。
これまでの経験では、純粋に「ひょうたんが好きだから」という回答は意外に少ない。しかし、ヒョータニストである私にとって最もうれしいのがこの答えであることは間違いありません。
ご主人によると、一緒にお店をされている奥さんのほうが一層ひょうたんがお好きだということでした。残念ながらその日はご不在だったのですが。
暖簾やショップカード(写真①②③)だけでなく、お店の中を見渡してみるとあちこちにひょうたんが見つかりました。写真④は、佐賀県の古伊万里酒造の「前」、ひょうたんラベルです。そして、写真⑤は宮城県の日高見酒造の「弥助」ひょうたんボトル。どちらもいまはお店においてないということで、試飲はかないませんでしたが。
古い器の収集も奥さんの趣味だそうで、ひょうたん型の器も発見(写真⑥)。また、本物の千成ひょうたんもさりげなく飾られていました(写真⑦)。
運ばれてきたお料理は、完全な鶏尽くしメニューでした。刺身、ポン酢和え、炭火焼き、唐揚げなどすべてに知覧鶏というブランド鶏肉が使われ、どれもおいしく味付けされていました。これは飲まずにいられない感じです。(写真⑧)
ランチも営業されているとのことでしたので、今度はお昼にうかがってみよう。そのときは、ご主人以上にひょうたん好きだという奥さんにも会えたらいいなと思いました。
(878日目∞ 11月25日)
※次回879日目は奥田亮「でれろん暮らし」、11月28日(月)にアップ。
880日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、11月29日(火)にアップします。