「ネルウァ」の実、数えてみたら90個
by 丸黄うりほ
御堂筋のイチョウも大川沿いのサクラもきれいに色づき、大阪の街もすっかり晩秋の景色になりました。信州小布施の奥田亮さんをはじめ、全国のヒョータニストさんたちも、ひょうたんの実をすべて収穫し、ひょうたん仕舞いをされた方がほとんど。今なお栽培を継続しているのは、我が家の千成ひょうたん「ネルウァ」のほか、あと数苗となりました。
ひょうたんはアフリカ原産で、基本的には高温を好む植物です。その営みが活発化するのは25度以上で、低下するのは18度以下といわれています。最近の大阪の気温をチェックしてみると、最高気温17度、最低気温10度くらい。
そんな中で、「ネルウァ」はまだ生きて頑張っています。7月中旬から11月2日までは毎日欠かさず花をつけていたのですが、3日は花がついになくなりました。しかし、4日にはまた3つ雄花が咲いて復活。その後は花のない日もありつつ、雄花1、2輪のちらほら咲きが続いています(写真①)。
こんなふうに花をつけられると、「君もそろそろ終わりだね」などという残酷なことはとても言えません。緑の葉がなくなるまで、その活動が完全に停止するまで、見守らないといけないと思っています。
とはいえ、葉は枯れてずいぶん少なくなりました。まるで髪の毛が減ってきたお年寄りのようです。葉が減ってくると、全盛期は葉陰にあって見えなかった実がよく見えるようになりました。
「ネルウァ」は第12代ローマ皇帝から名前をもらっただけに、ベランダ全体を完全に制覇しています。写真②はベランダ内側の北端、③は中央付近、④は南端。そして、⑤は今まで写真に撮りにくかったベランダ外側です。蔓全体にあまり偏りなく、まんべんなく実がつきました。
写真⑥は、9月下旬か10月になってできた実です。遅い時期にできた実は一般に「末成ひょうたん」といわれ、末っ子をからかう時にも「うらなりはいつまでも青い」などと言われますが、本当にいつまでも青いんですよね。こういう実は最後まで完熟しないことが多く、皮が薄い。
おもしろいのは、この末成たちの表面に、うっすらと白い斑が浮かび上がっていること。これはアメリカ系のひょうたんによくみられる模様なんですが、じつは千成ひょうたんにも班があり、しかし全体が白っぽいために見えにくいということなのかもしれません。
反対に、早くにできた実の一部には、そばかすのような緑色の班が出てきました。どちらの班も、おそらく水漬け処理をはじめると消失してしまうと思いますので、いまのうちに楽しんでおきましょう。
葉が減って数えやすくなった実の数を数えてみると、92個ありました。でも、もしかしたらまだ見逃しているのもあるかもしれないし、逆に重複して数えてしまっているのもあるかもしれません。
しかし、約90個という数は、1苗のひょうたんにできた数としてはかなりいい感じなのではないでしょうか。私自身の栽培歴を振り返るとダントツ1位です。「ネルウァ」は本当によくやりました。
(872日目∞ 11月16日)