孫をあきらめて曽孫に賭けたら実ができた!

by 丸黄うりほ

①ずっとグリーンカーテンだった、大阪市・西山朝子さんの千成

②「なりちゃん」にようやく実ができました!

③全部で7つほど実っています

ひょうたんには花がたくさんつく株と、あまりつかないものがあるように思います。一般に、千成ひょうたんはひょうたんの品種の中では花付きがいいほうだといわれていますが、西山朝子さんに引き取っていただいた千成「せんちゃん」「なりちゃん」の2苗に関してはどうもそうではなかったようです。

夏の間、2苗はどちらもずっとグリーンカーテン状態でした(写真①)。花は咲いても雄花ばかりで雌花がつかない。

蔓がよく伸びて、葉は青々としげるのに花がついてこない状態を、一般に「蔓ぼけ」といいます。原因としては、肥料の栄養バランスがチッソ過多になっている場合が多いようです。

その場合はリン酸、カリの割合が多い肥料を与えるか、チッソを含まないリン酸、カリだけの「ハイポネックス開花促進」などを与えると、だいたい2週間くらいで解消します。あと、いろいろと調べた結果、花を咲かせるには苦土を少し与えることも効果的であるとわかりました。さらに、活性剤の「メネデール」や「リキダス」などを与えても全体的に元気になって、花もよくつくようになると感じています。

しかし。西山さんは、それらの対策をすでにとってらっしゃいました。それに、「せんちゃん」「なりちゃん」の場合は、花がまったくつかないのではなくて雄花しかつかない状態でした。つまり、肥料の栄養バランスが原因とは考えられない。

そのときに思い出したのが、私が去年育てていたイプという品種のひょうたんのことでした。イプの「ドミティアヌス」は、花付きがとても悪くて花自体が少なかったのですが、上記の対策をとって頑張ったところ、雄花はたくさん咲くようになりました。ところが、本当に雌花が少ない。ひと夏の生涯で雄花は何百と咲いたのに、雌花は10かそこらしかつきませんでした。

去年、雌花が少ないことに悩んでいろいろ調べたのですが、チッソ過多だと花がついても雄花が多くなるということ。また、蔓のなかには雄花しかつかない蔓が存在するということもわかりました。雌花がつくのは蔓の3、4節だと断定し、先端を切ってしまうという説も出てきました。その真否についてはちょっとわからないのですが、雌花がつく蔓には何らかの法則があるのかもしれません。

「せんちゃん」「なりちゃん」の場合は、もしかしたら雄花しかつかない蔓に該当するかもしれない。その場合の対策は、思い切って孫蔓をあきらめるということでした。

一般にひょうたんの花は、最初に出てくる蔓(親蔓といいます)にはほとんどつきません。親蔓を摘芯して次に出てくる子蔓にもあまりつきません。子蔓を摘芯して次に出てくる孫蔓に花がたくさん咲くのです。なので、通常はこの孫蔓を伸ばして大切に育てるのですが、「せんちゃん」「なりちゃん」の孫蔓は雄花しかつかないタイプの蔓だったのかもしれない。その場合は、孫蔓に見切りをつけて摘芯し、曽孫に期待するのがいいそうなのです。

9月初め、そのことを思い出してメールすると、「曽孫!ビッグファミリーですね。やってみます」と、言ってくださった西山さん。

そして……、先日、写真②と③を送ってきてくださいました!

「曽孫に雌花がつき、ひょうたんになりました」とのメールも。

「せんちゃん」のほうは枯れてしまい、実がついたのは「なりちゃん」のほうだそうです。「曽孫なので、ベランダの天井に近いところや、細〜い蔓について大きくないけど、7つほどいてます。この時期なので、うどんこ病や青虫の害もありますが、なんとか育ち、そろそろ収穫します。夏から秋、ひょうたんと過ごした感あります。ほっとしています」と西山さん。

青虫にかじられてタトゥーありの実もあるようですが、写真を見るとほとんどの実はつるつるすべすべ。形もしゅっとスマートな美形揃いです。本当に良かったですね!

(863日目∞ 11月2日)

※11月3日(木・祝)の「ひょうたん日記」はお休みです。864日目は11月4日(金)にアップします。