千成ひょうたん「ネルウァ」U/UUとの戦い
by 丸黄うりほ
きょうから11月。冷たい雨が降っています。
我が家のベランダも寒くなりましたが、千成ひょうたん「ネルウァ」の栽培はずっと続いています。多くのヒョータニストさんたちが収穫や水浸けをはじめてらっしゃいますが、うちの「ネルウァ」の実はまだ全部ぶらさがったまま。
現在の「ネルウァ」のようすは写真①。ご覧の通りすっかり葉が少なくなりました。残った葉も黄色いものが多くて、一言でいうと「老けたなぁ」という感じ。
真夏の最盛期には夕方にジョウロ6回分(24リットル)、翌朝に4回分(16リットル)もの水を飲んでいましたが、今は1日1回、朝にジョウロ2回分(8リットル)の水を飲むだけになりました。それでも今朝、土の表面を触ってみるとしっとりしていたので、今日は思い切って水やりを抜くことに。こうやってだんだんと食が細くなっていくのだろうなぁ。
しかし、ふりかえれば「ネルウァ」の瓢生はなかなか良いものだったと思います。いちばんの危機は、子蔓を伸ばしかけていた6月下旬に、親蔓がぱっくりと割れてしまったこと(777日目)。蔓が割れるというのは、ひょうたんが重病にかかった可能性があり、一時はもうこれで栽培終了かと思ったほどでした。
写真②が、その古傷なのですが、接木テープ「ニューメデール」が助けてくれました。その後、親蔓は割れたままどんどん太くなり、今では水まきホースほどの太さになっています。
危機を乗り越えてからの「ネルウァ」は、元気に花が咲き、どんどん実をつけました。7月中旬に初めての花が咲いてから、なんときょうまで1日も欠かさずに花を咲かせています(写真③)。これは誇張ではなく事実で、こんな粘り強いひょうたんは私も初めて。育て主も呆れ果てています。
花が咲くということは実もできるわけで、まだ青い実が増え続けています(写真④)。現在70個以上の大家族。ちょっとずつ毎日のように実が増えるせいで、もう受粉日も正確な実の数もよくわからなくなってしまいました。すでに受粉から2カ月たったものもあり一部は収穫可能なんですが、全部ぶらさげてあるのはそのせいなのです。
さて。そんな「ネルウァ」晩年の敵とは?老体に鞭打って、いま「ネルウァ」が必死に戦っているラスボス……、それはU/UUであります!
名前を口に出したくないほど嫌な虫のことを世間ではGと表記したりしますが、今の私にとって、また「ネルウァ」にとってU/UUは、まさにそんな感じ。Uは、うどんこのような白いカビが生える病気なんですが、「ネルウァ」の残った葉の80パーセントほどはそいつにやられています(写真⑤)。葉だけではなく蔓にもくっついており、蔓を持ち上げるとうどんこが、ふわぁ〜っと空気中に舞い上がる。黒い服を着ていたりしたら、チョークで汚したみたいになります。ここまで蔓延してしまったら、もう農薬もききません。
もうひとつの敵、UUはさらに気持ちが悪いです。こいつは若い時は透明な糸くずみたいな姿をしていて、葉をレースのように食い荒らします。それが、成長して今や立派な青虫になってやがります。
写真⑥をご覧ください。葉の付け根が噛み切られ、葉が内側にまがっていますよね。UUはこの内側にいるのです。こうやって葉でドームを作り、その中で繭を作ろうという魂胆。しかも、狙われる葉はまだ緑色をしていて、Uにもおかされていないきれいなものばかり。見つけたら葉ごとちぎって、ぷちっと捻りつぶすんですが大変嫌な感触です。毎日使い捨て手袋が欠かせません。
こいつ、ひょうたんの葉の間に本当にうまく隠れているのですが、写真⑦で激写しました。目のいい人は見えてしまうかも。見えない人はラッキー!
(862日目∞ 11月1日)
- 丸黄うりほ ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョウタン総合研究所」立ち上げ所員。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンション(大阪市北区)のベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。
- 本年度ヒョータニスト(ひょうたん栽培&加工に挑戦中のみなさん。随時追加していきます) ふじっこさん(三重県いなべ市)、フェイ・ターンさん(東大阪市・瓢箪山)、ヤマミーさん(大阪府和泉市)、森野ゆかりさん(奈良市)、光澤大志さん(熊本市)、中野由紀昌さん(福岡市)、金森幹夫さん(三重県名張市)、KFさん(大阪府東大阪市)、美佐子さん(大阪市・フレイムハウス)、西山朝子さん(大阪市・ウーピーキッチン)、モリカワさん(ヒョウタン総合研究所)、杉浦こずえさん(大阪市・愛知県安城市)、塚村編集長、ヒロミさん(兵庫県淡路島)、虎爪さん(千葉県)、イトミーさん(名古屋市)、おーさきさん(兵庫県小野市)