ひょうたんに見間違うポイント
by 丸黄うりほ
ついに「花形文化通信」で、日本一のひょうたん博士・湯浅浩史先生のインタビュー連載がスタートしました!全5回のうち、まだ1回目がアップされたばかりですが、これはすごい!ひょうたん好きはもちろん、全人類が読むべきインタビューです。まだ読んでないという方は、ぜひ今すぐ読んでいただきたいと思います。
さて。湯浅先生のインタビューを行ったのは9月21日のこと。神奈川県にある日比谷花壇大船フラワーセンターというところでしたが、そのとき私はICレコーダーを持っていきました。普通は置いて使うものなんですが、立って歩き回りながらでも録音できるように、首から吊るしていました。このストラップ、本来はスマホを吊るすものなのです。
このストラップを見て、同行の塚村編集長が「ひょうたん!」と小さく叫んだのです。確かに!紐をまとめているところがひょうたん型をしていますね!(写真①②)
「ふふっ。今年はひょうたん栽培をされただけに、編集長にもひょうたんアイが育ってきているようだ……」と思い、私は内心ほくそ笑みました。しかし、同時に、日頃から「ひょうたんを見つけるなら誰にも負けないぞっ。何をみてもひょうたんに見えるぞっ、などと公言し、ひょうたんアイの持ち主であることを自負している自分には、なぜこれが今までひょうたんに見えてなかったのだろう?なぜこれに気づかなかったのだろう?」とも思い、なんだか残念なような、悔しいような気持ちにもなったのでした。
その数日後の9月28日。私はジェイアール京都伊勢丹の地下1階食料品売り場にいました。9月30日の「ひょうたん日記」に書いた、「山水會」という京都老舗菓子店のコラボレーションによる、ひょうたん型落雁詰め合わせ「彩瓢菓撰」を求めるためだったのですが、目的の品を入手してから売り場を少しぶらぶらと歩いてみました。すると……
私のひょうたんアイが!ギュインギュインとうるさく鳴り響きました。ええっ、さっき大量にひょうたん型のお菓子を買ったばかりなのに、また?
それは、ういろで有名な五建外良屋の「抹茶ぷりん」という商品でした。「うわぁ、これは見事なひょうたんだ!」と思った私は、「仕方ないなー」と、4個入りを一箱買い求めました。
そのパッケージが写真③④であります。ねっ?ひょうたんに見えますよね?
家に持ち帰り、冷静になってよく見たら、「これはひょうたんではなかったかもしれない」と思いました。「抹茶ぷりん」の個別パッケージの絵は、水の中にぽちゃんと落ちたひょうたんのお尻のように見えなくもなかったですが(写真⑤)、五建外良屋のウェブサイトをくまなくチェックしても、ひょうたんの「ひ」の字も出てきませんでした。
ああまたしても、ひょうたんアイの誤動作だったのか……。
なぜ私には「抹茶ぷりん」のパッケージがひょうたんに見えたのか。ポイントその1は、「ひょうたん色」のせいだと思います。中央のひょうたん型っぽいところが抹茶色であるだけでなく、パッケージ全体が薄い緑色をしている。この色は、まさしく栽培中のひょうたんの色なのですよね。
そしてポイントその2は、ひょうたん型のへりに立体感をあらわす線が描かれていること。これはおそらくプリンのぷるぷる感を表現したものなのでしょうが、磨いたひょうたんの照りにも見えるんですよね。
では、私にはなぜICレコーダーのストラップがひょうたんに見えてなかったのか。それはおそらく色のせい。そして、何より重要なポイントはここですが、私がこれを「ストラップだと思っていた」からでしょう。
そうなのです、ひょうたんアイの動作には「思い込み」が大きく作用している。そして、ひょうたんアイの起動を妨げるのもまた「思い込み」なのです。
(859日目∞ 10月27日)