楽器作りの魂がうずうずしてきました

by 奥田亮

ワークショップの様子

ライブは盛況でした

前号でお伝えしたように9月3日、スワロー亭で「トゥバ共和国のホーメイライブ・ワークショップ」が開催されました。出演は、京都から和田史子さん、長野県富士見町から葛目絢一さんのお二人。

ワークショップは、ホーメイの仕組みをスマホや炊飯窯を使って説明(と言われてもよくわからないと思いますが)したり、ダミ声の出し方や口の中の舌の動かし方をを練習したり。時間も短く、時節柄受講者はマスク着用ということもあって、なかなかホーメイができるところまでは出来ませんでしたが、楽しい時間となりました。今ごろきっと参加者の中には、家でダミ声の練習をして嫌がられている人がいるのではないかと思います。

ライブは、トゥバの民謡を中心に、和田さんと葛目さんが交代で歌ったり一緒に歌ったり。途中、ゲストNaoさんの歌と音具による葛目さんのオリジナル曲などもあって、あっという間の1時間半。マイクなしの生音で、静かだけど深い時間をとなりました。小さくても生音で聞くのがやっぱりいいなあと改めて思いました。あまりの心地よさに舟を漕ぎ出す人もおられましたが、それもまた至福の休息になったのではないかと思います。

トゥバの民族衣装で正装した和田さん

ショールを吹く葛目さん

トゥバ独特のホーメイ、スグット、カルグラーなどの喉歌を堪能できただけでなく、二人で歌うホーメイの重唱はまた格別で、2つの倍音が絡まって脳内がビリビリ。しかも男女でのデュエットは本場トゥバでもめったにないらしく、貴重な経験になりました。それから、歌もさることながら、イギル、ドシュプルール、ブザーンチゥ、ショール、口琴などの楽器がたくさん出てきたのも、楽器好きとしては大収穫でした。とくに複弦2コースの弓奏楽器ブザーンチゥは初めて聞く音で、楽器作りの魂がうずうずしてきました。これはちょっと面白そう。

一応申し添える程度にご報告しておきますが、私もちょこっと、ひょうたん楽器で共演させていただきました。音的に親和性が高いとは予想していましたが、実際合いすぎるぐらいの違和感のなさで演奏することができました。何より、久しぶりに複数の楽器と合奏できたのが楽しかったのでした。

記念撮影。和田さん葛目さんのお二人と、右はNaoさん、左は奥田さん。  (撮影は以上すべて:中島敏子さん)

ああ、こうやって外部から刺激をいただくと、また何かやりたいという気持ちが湧き上がってきますね。自家発電はなかなかハードルが高いですが、外からグイッと引き上げてくれる出来事によってスイッチを入れてもらうのも大事ですね。なるほど、そうか、でれろん。

(824日目∞ 9月5日)

  • 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。