お父さんはイプなのか?キュウリなのか?
by 丸黄うりほ
兵庫県淡路島にお住まいのヒロミさんは、7月21日の「ひょうたん日記」で「今年」初登場のヒョータニスト。わざわざ「今年」初登場と書いたのは、去年もヒョータニストとして参加してくださったからなのですが……。
さてさて。そのヒロミさんから新たな写真が届きました。
まず写真①をご覧ください。こちらは、ヒロミさんが栽培中の、UFO型のひょうたんです。花がたくさん咲いていますね。真ん中あたりの、黄色い丸で囲まれているのは雌花です。この写真がヒロミさんから送られてきたのは7月25日のことで、このとき私はまだ「それ」に気がついていませんでした。
はっきりと気がついたのは、8月1日に送ってきてくださった写真②と③を見た時でした。写真②は、写真①の実がふくらんで大きくなってきたようすで、写真③はその後受粉に成功して、大きくなりつつある実たちです。
この実の形……。
どう見てもUFOとは違います!
ちなみに、去年ヒロミさんが育てて収穫したUFOの実は、写真④と⑤のような形をしていました。この実の形は典型的なUFOの形です。くびれがなく、カボチャのように平べったい円形。その名の通りUFOのような形をしています。
ヒロミさんが去年収穫したのはこの3個だけで、この実から今年のひょうたんのタネを採りました。なので、遺伝的に考えると「お母さん」であるこの実たちと同じような形の実が今年もなるはず……なのです。
私はヒロミさんにきいてみました。「今年のひょうたん栽培はこの1苗だけってきいてたけど、もしかして他の種類のひょうたんを近くで育てたりしてますか?」
ところが、ヒロミさんの回答は「ノー」でした。じつは1苗だけではなくて、あと2つ鉢植えにしたものもあり、合計3苗だったそうなんですが……、全部出どころは同じ、去年のUFOなんだそうです。
そうですよね。もし、別の品種とUFOが、今年、偶然交雑して実ができたのだったら、UFOらしくない実はその実だけのはず。でも、写真③を見ると、後からできた他の実もことごとくUFOらしくない形をしています。
ということは、もしかしたら去年の実が、もともとハイブリッドだった可能性があるかもしれません!
写真④や⑤を見る限りではわからなかったけど、もしかしたらこのUFOのどれかがじつはハイブリッドだった。にもかかわらず、「母親似」だったのかも。
そういえば、去年ヒロミさんが栽培にトライしたのは、UFOだけではありませんでした。百成とイプも一緒に育てていたのですが、その2品種には実ができなかったのです。この実の形から察すると……、
「お父さんはイプなんじゃないか!?」
と私は思いました。
それで、「去年イプと交雑したんじゃない?」とたずねてみたんですが、「イプとUFOは花の時期が違っていた」とおっしゃる。で、ヒロミさんから次に出てきた証言が衝撃的でした。
「キュウリかもしれない」
というのは、すぐご近所にキュウリをたくさん栽培していたおばあさんが住んでいらして、去年のひょうたん栽培中によく遊びにきてらしたそうなのです。その人の服や髪などにキュウリの花粉がくっついて運ばれてきたのか?あるいはそのキュウリに集まっていた虫が、キュウリの花粉をくっつけてUFOの雌花まで飛んできたのか?
ヒロミさんの今年のひょうたんのお父さんは、イプなのか?それともキュウリなのか?
ちなみに、花はすべて白いそうです。しかし、この実の形を見る限りでは、なんとなくキュウリの可能性も捨てきれません。もう少し日が経って実が大きくなってきたら、本当のお父さんがはっきりするかもしれませんね。
(801日目∞ 8月2日)
- 丸黄うりほ ∞ ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョウタン総合研究所」立ち上げ所員。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンション(大阪市北区)のベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。
- 2022年度ヒョータニスト(ひょうたん栽培&加工に挑戦中のみなさん。随時追加していきます)∞ ふじっこさん(三重県いなべ市)、フェイ・ターンさん(東大阪市・瓢箪山)、ヤマミーさん(大阪府和泉市)、森野ゆかりさん(奈良市)、光澤大志さん(熊本市)、中野由紀昌さん(福岡市)、金森幹夫さん(三重県名張市)、KFさん(東大阪市)、美佐子さん(大阪市・フレイムハウス)、西山朝子さん(大阪市・ウーピーキッチン)、モリカワさん(神戸市)、杉浦こずえさん(大阪市・愛知県安城市)、塚村編集長、ヒロミさん(兵庫県淡路島)、虎爪さん(千葉県)