マルチアーティスト加藤シモンさんの絵
by 奥田亮
「でれろん暮らし」の連載も、気がつけば108回目。煩悩の数だけ回を重ねたと思うと、ちょっと感慨深くもあります。毎月初めには、一番下に私のプロフィールを載せていただいているのですが、あらためて読んでみますと、なんだかまるで音楽家のようなプロフィールになっています。確かに嘘偽りは書いていないのですが、ここのところ、ほとんど音楽活動らしい活動をしていないことを考えると、なんだか違和感がありますねえ。思い返せば昨夏、スワロー亭でトラペ座のライブを開催したときに、ちょこっと前座をさせていただいて以来、一年近くなんら音楽活動をしていません。それどころか、ひょうたん楽器にもほとんど触れることもありませんでした。
ピアノのお稽古は相変わらず続けているのですが、これはどちらかというと脳トレのようなもので、音楽を演奏していることには変わりないのですが、譜面を読み、指定された鍵盤を指定された指で左右バラバラに押さえるという高度な所作を習得するのに精一杯で、音楽脳が動くにはまだまだ時間がかかりそうです。今まで好き勝手に弾いていた時とは動いている脳の部分が違うように感じます。もっとも、それによって音楽に対する欲求が微妙に満足させられてしまっている、という可能性もあるのかもしれません。うーん、痛し痒し…。
ところがどうも夏至を過ぎたあたりから、なんだかちょっと流れが変わってきました。まずは6月中旬、長野市在住のマルチアーティスト加藤シモンさんが、とある建物の板壁に描いた絵の引き取り先を探しているという情報がSNSに流れてきました。件のその絵はポジティブな力がみなぎっていて、スワロー亭にいい風を吹かせてくれるような気がしたので、うちに引き取らせていただくことになりました。その作品が届いたのが、ちょうど夏至の6月21日。かなり大きな作品だったので飾る場所は大丈夫かなと案じていましたが、ピアノの上の壁面にピッタリはまりました。聞けばその絵は音楽をテーマにしているとのこと。大きさだけでなく、シチュエーションもピッタリだったのにはみんなで驚きました。これはお披露目にライブをやらねば、ということで、なんとひょうたんの日、∞の日、8月8日にライブ開催が決定。
その後は、なんだかその絵にひっぱられるように、次々にライブ企画の話が入ってきました。こちらで企画したものもありますが、持ち込み企画や、お寺でのイベントへの出演依頼などなど、気がつけば11月までに毎月1、2回のライブがとんとん拍子に決定。明らかにこれまでと流れが変わってきています。
イベント、ライブの詳細は、時期が近づきましたらご案内させていただきますが、そんなことで、ここへきて急に、下記のプロフィールに違和感がなくなってきました。まあ、よかったす、とりあえず、まあ、でれろん。
(781日目∞ 7月4日)
- 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。