ひょうたんタネまきの季節、あちこちで
by 丸黄うりほ
ひょうたんを栽培し、愛でる人。その栽培の様子やひょうたんへの愛を写真やメールで報告してくださる人たちを、「ひょうたん日記」ではヒョータニストと呼んでおります。もともとは月曜日「でれろん暮らし」の奥田亮さんによる造語であって、一般的な言葉ではないのですが、この日記では頻出します。どうぞみなさん覚えておいてくださいね。
さて。昨年はそんなヒョータニストさん(ヒョータニスト2021)がたくさん生まれた年でありました。そのなかで栽培1年生だった3人が、2年生に無事進級を決めてくれました。ひょうたん栽培はやってみるとなかなか大変で、相性みたいなものもあり、1年目で半分くらいの人は挫折してしまうのです。しかし、2年生になった人は、たいていその後3年生、4年生になっていかれます。なので、2年生に3人が進級というのは、とてもとてもうれしいこと。
ちなみに1年生、2年生というのは比喩ではなくて、ひょうたんは1年草であり、春にタネまきをして、夏に花が咲き実がなります。秋には収穫し、冬には加工をしたりタネを採取したりする。そしてまた1年が繰り返されるのです。
それでは、まず写真①をご覧ください。
こちらは奈良市の森野ゆかりさん宅の様子です。コップに挿した棒に、焼肉レタス、絹さやエンドウ、とうもろこし、UFO、千成という文字が読めるでしょうか?このうちひょうたんは、UFOと千成の2種。UFOは昨年収穫した実から自家採種したもので、千成はホームセンターで見つけたタネだそうです。彩色した青や赤のタネがすごくきれいで目立っていて、ひょうたんのタネは地味ですが。うまく発芽することを祈っています。
次に、写真②と③をご覧ください。
こちらは東大阪市の瓢箪山にお住まいの、フェイ・ターンさん宅のようすです。フェイ・ターンさんはひょうたんランプ作りに完全にはまってしまい、精力的に作品を作っておられます。うれしいことに、栽培のほうも続けてくださるそう。しかも、昨年よりも多い5品種に挑戦です。百成(大ひょうたん)、千成、イプは昨年の収穫からの自家採種。UFO(カーリングひょうたん)、豆ひょうたんはメルカリでタネを買ったのだとか。ビニールポットに直まきし、苗になったら、今年は畑ではなくすべてプランターで栽培するつもりだそうです。昨年以上のひょうたんジャングルに期待が高まります。
続いて、写真④をご覧ください。
こちらは和泉市のヤマミーさん宅のようすです。鍼灸師であり、「吸いふくべ」というセラピーの研究からひょうたんに興味をもったというヤマミーさんは、もしかしたら「吸いふくべ」に使うとされている実が、ひょうたんではなくて近い植物である長夕顔かもしれないということをつきとめました。そこで、今年は長夕顔を育ててみることにしたそうです。加えて、昨年の千成と百成から採取したタネもまくつもりだと聞いていたのですが、なんと!こぼれダネが勝手に発芽を始めたそうです(写真⑤)。今年もヤマミーさんの庭はにぎやかになりそうですね。
写真⑥は、ヤマミーさんが昨年栽培した千成ひょうたんのうち、「マルコ」と名付けた苗の実です。ふっくらと丸く、ころんころんとしていて、「可愛い。「マルコ」のタネなら育ててみたい」と、花形文化通信の塚村編集長。
そのことをヤマミーさんに伝えたところ、「うれしすぎます♡ 発芽率はわかりませんが、マルコの次の世代が芽生えたらよいなぁと思います」と、自然乾燥させたタネ入りの実を、そのまま塚村さんに送ってくださいました。丹精込めて育てた可愛い子を快く分けてくださるとは、本当にありがたいことです。
編集長の自宅で「新マルコ」がうまく発芽して、ヒョータニストの輪が次世代に引き継がれていきますように……。
(729日目 ∞ 4月15日 )
※次回730日目は奥田亮「でれろん暮らし」、4月18日(月)にアップ。
731日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、4月19日(火)にアップします。