このひょうたんを何と呼ぶべきか?
by 丸黄うりほ
昨年のひょうたん、イプの「ドミティアヌス」は、後成り3個の水つけ作業が完了して、ようやく乾燥に入りました(写真①)。
また、通信販売で購入した今年のひょうたんのタネが無事に到着しました!(写真②③)
タネまきをする前に、袋の裏に書かれた説明をじっくりと読んでいきましょう。
品種名は「かど瓢」。数量は「5粒」で、発芽率は検査月の「’21年11月現在で85パーセント以上」、有効期限は「発芽率検査月より1カ年」となっています。
ひょうたんのタネは採取してすぐにまくと発芽率がいいのですが、なかなか素人が上手に保存するのは難しく、古くなるほど発芽率が下がっていきます。そのへんに置いておくと、数年たったらほぼ発芽しなくなります。この袋の表示の通りなら、この春に5粒まけば4苗ができると期待していいのでしょう。
生産地は、この種苗会社「福井シード」のある福井県です。
また、「この種子は農薬処理をしていません」とも書かれています。ここは大切なポイントです。通常、市販のタネは農薬処理をして売られています。農薬をつかわない派の人にとっては、よけいなことをしやがって、という感じでしょう。反対に、私のような農薬つかいます派にとっては、処理してないのはちょっとめんどくさいタネだな、ということになります。自分で農薬処理をせねばならないからです。
袋の表には、収穫して乾燥も終わったひょうたんの写真と、「種まき*半日以上陽当たりの良い場所に置いてください *土は種が隠れる程度にかけてください *発芽するまで潅水に注意してください」と、簡単すぎる説明が書かれています。
あきらかにこれは、ひょうたん栽培初心者を想定していない文章です。こんな珍しいひょうたんを育てるような人は玄人でしょ、基本はもうわかっているよね、説明なんか今更いらんよねぇ、という声が聞こえてきそうです。
まあそれはおいといて。袋の注意書きを改めて正座して読み、私はこのひょうたんと新たな1年を過ごす決心がつきました。
そこで、はて?と考え込んでしまいました……。
このひょうたんを何と呼ぶべきか?
袋には品種名「かど瓢」と書かれてはいるのですが、このひょうたんにはたくさんの呼び名があるのです。そのなかで「かど瓢」は最も平凡かつ愛想のない名前。
タネの発注をした時の日記(3月15日)にも書きましたが、恐竜になんとなく似ているので「恐竜ひょうたん」と呼ばれることがあります。また、トゲトゲと角張っている形が鬼の棍棒みたいだから「鬼棒」とも呼ばれますし、その両方をとって「龍の棍棒」と書かれているのを見たこともあります。海外では「Caveman’s Club」と呼ばれたりもするらしく、直訳すると「穴居人の棒」、つまり原始人の武器という意味らしいです。
学名は「Lagenaria siceraria Maranka」で、そこから「マランカ」と呼ばれることもあります。私が愛読している栽培本『ひょうたん・へちま 栽培から加工まで』(森義夫著/家の光協会)では「マランカ」、同じような形でやや小ぶりのものには「ガーナ角」という名が採用されていました。
ここでアンケートをとって多数決で決めたいような気もしますが、「なんでもええやん」という声も心の奥から聞こえてきます。いちばんいけないのは、毎回呼び方が変わって読者の皆さんを混乱させることだと思います。
……わかりました!当方では、このひょうたんを「マランカ」と呼んでやることに決めました。苗の定植時には今年もローマ皇帝の名前をつけるつもりですから、ラテン語で統一するのが良さそうです。順番でいくと11代「ドミティアヌス」の次ですから、12代皇帝「ネルウァ」になりますね。
「ラゲナリア・シセラニア・マランカ・ネルウァ」。うむ、じつに高貴な感じがします!
(721日目 ∞ 4月5日)