ふじっこさんの新楽器 ∞ 「ダクソ瓢ォン」(1)

by 丸黄うりほ

①「ダクソフォン」と「ダクソ瓢ォン」の構造

②百成ひょうたん「ピーター」の実を使いました

③桐の集成材を切り抜き、ピエゾマイクを貼りました

④これがサウンドボックスになる!

⑤クランプはヒノキの角材で制作

⑥取り外しできる蝶番で固定しました

 1月14日・18日(674日目676日目)の「ひょうたん日記」で、ふじっこさんがぞくぞくと新しい楽器を作っていることを報告しました。今週はその続報をお伝えしていきますね。

と、ここで念のため説明しておきますと、ふじっこさんと私は「ヒョウタン総合研究所」というユニットのメンバーなのです。

「ヒョウタン総合研究所」というのは、ひょうたんを栽培し、その実をとって音の鳴るもの、まあ楽器のようなものを自分たちで作って、音楽のようなものを演奏することを目的としています。手間がかかるわりにフラジャイルなのですが……。

現在、メンバーはもう1人いまして3人組。10月に神戸でライブを行い、その報告もここでさせていただきました(610日目)。それからちょうど半年、来たる4月に大阪・阿波座で演奏会を行うことが決まりました。そんなわけで、ただいま絶賛準備中。ふじっこさんの新楽器制作もその準備の一つだと思っていただければいいかと思います。

さてさて。前述の日記(676日目)でちらりと見せた、カメラの三脚の上にひょうたんが乗っている制作中のモノ。

あれは何だったのかといいますと……。

ふじっこさん命名、「ダクソ瓢ォン」であります。

「花形文化通信」を愛読してくださっている方なら、もうピンと来られたかもしれません。そうです、音楽家の内橋和久さんのインタビューに登場した「ダクソフォン」。ハンス・ライヒェルというドイツの音楽家が発明した楽器なのですが、ふじっこさんはそれをひょうたんで作ろうと考えたのです。

まずは図①をご覧ください。これがふじっこさんが考案した「ダクソ瓢ォン」です。上に描かれているのが元祖「ダクソフォン」の構造。そのうちのサウンドボックスと呼ばれている共鳴部を、ひょうたんで作ってみようというところから制作が始まりました。

最初に悩んだのがひょうたんをどの向きにするかということでした。「ダクソフォン」のサウンドボックスの形に従うなら、ひょうたんを横向きに寝かせて使うほうがいいように思えますが、それではひょうたんのアイデンティティでもある「くびれ」が見えなくなってしまう。そこで、ふじっこさんはひょうたんを縦に置き、底の部分だけをサウンドボックスとして使うことに決めました。まあ上の部分は飾りってことですね。

楽器にしてやることにしたのは、昨年収穫した百成ひょうたん「ピーター」の実です。まず、写真②のようにひょうたんを切り、表面にニスを塗りました。

厚さ10ミリほどの桐の集成材をひょうたんの切り口に合わせて切り抜き、付け蓋を作り、それにもニスを塗りました。付け蓋にはギター用のピエゾマイクを取り付けました(写真③④)。

クランプ部分に使ったのはヒノキの角材。ボルトとナットをはめ込む穴を開けるのがなかなか大変だったそうです。クランプには豆ひょうたんの実を接着剤でくっつけました。これも音には関係ない飾りだけど、「ここにひょうたんがどうしても欲しかった」とふじっこさん。その気持ち、わかります。かわいくしたいですよね!(写真⑤)。

マイクジャックの差し込み口はひょうたんの底に穴を開けて外に出せるようにし、上下に切り離したひょうたんと板を止めるのには、取り外しできる蝶番を使うことにしました。そのようにしてサウンドボックスとクランプを組み立ててみたのが写真⑥です。

きょうはここまで。「ダクソ瓢ォン」制作、明日に続きます!

(709日目 ∞ 3月8日)