いや、そんなもの見たことはないですけれど
by 奥田亮
どーん! どすーん! 何やら外から不穏な音が聞こえてきます。そうです、屋根の雪が春の日差しで溶けて落ちる音。うっかりそんな屋根の下にいたら大変です。姿は雪でも中身は氷。写真のようにミルフィーユ状に積もっておいしそうにも見えますが、実際は重くてかたいので当たると怪我をします。
さて、先週からの続き。水浸けせずに放置していたUFOは、表面をサンドペーパーで削り、まあまあいい感じに整ったので、今度は中をきれいにしようと思います。中をきれいにするには、どこかに穴を開けて中身を取り出さないといけません。ぐるっと全体をよく見てみると、底に虫食いのように開いた穴の周辺にひび割れがあり、これはこのまま放っておいてもいずれ割れてしまうと判断し、底に穴を開けることにしました。鉛筆で開けるべき大きさに丸く書いた線に沿ってカッターナイフで切っていきました。なんとかうまく丸い形に切り取ることができました。中を覗くと、おおお、タネと乾燥してガビガビになった身(ワタ)が内壁にこびりついています。これをメリメリと剥がして取り出しました。うおー、何年も取っていない巨人の耳垢みたいですね。いや、そんなもの見たことはないですけれど。
改めて眺めますと表面のカビや汚れ模様もそんなに悪くないように思いますし、蔓も付いていて案外味わい深い感じです。さてどうするか、明確なビジョンはないですが、まずはこの表面の汚れ感をいい感じにすべく、少し着色したくなりました。オイルステンなどで濃いめの色に仕上げてはどうだろうかとホームセンターに行って物色していると、「無臭柿渋」なるものがあるのを見つけました。ほほー、柿渋というのもいいかもしれない。ちなみに柿渋は本来けっこう強烈な臭いがするようなのですが、無臭でできる製法が開発されたのだとか。
早速購入して帰り、乾かしながら三度ほど塗ってみました。わりといい感じに濃い茶色になってきましたが、さらに乾燥のために放置していると、なんだか白くムラムラになっています。うぬぬー、どういうことなんだろうか、これではあんまり格好がよくないですねえ。気温が低いからかしら、塗り重ねすぎなのかしら、もう少し放置しておくと落ち着くのかしら、もう一度上から塗り重ねるといいのかしら?
こういうとき現代人はすぐにネット検索というのをしてしまいます。ウィキぺディアとか、柿渋を作っているメーカーのサイトとか、伊勢型紙の会社のページとか、いろいろ出てきました。へえー、柿渋は渋柿の青いのを発酵させて作るんですね。それに柿渋の効能は、虫除け、防腐、防水だけではなくは、清酒の白濁防止に使ったり、口臭予防液があったり。中でも驚いたのは、2020年にコロナウイルスを無毒化する効果が認められたという時節柄ホットな情報も。ほほー。
と、関係ない情報はいろいろわかって面白くはあったのですが、白く変色する柿渋、というのはどうも出てきません。とりあえずもう一度重ね塗りすることにしましたが結果は同じ。で、もう一度よく見ると、どうも表皮の残ったところが白くなっているようだとようやく気づきました。柿渋のせいではなかったのか。ということで、もう一度サンドペーパーで表面を削ることにしました。
ところが、調子に乗って勢いよく削っていると、「パリン!」‥‥あららら〜、勢い余って割れてしまいましたよ。覆水盆に返らず、割れ瓢器にできず? でもまあ、きれいに割れているので接着剤で貼り付ければなんとかなるとは思うのですが。
てなことで、今週完成形をお見せできる予定でしたが、時間切れです。また来週、でれろん。
(703日目 ∞ 2月28日)