猫の背中にひょうたんが……?
by 丸黄うりほ
この「ひょうたん日記」を始めた2019年に、我が家でつくったひょうたんの苗を引き取ってくださった出版企画「湯気カンパニー」主宰の金田賢美さん。ひょうたんに「湯気」と名づけてかわいがってくださったのですが、期待に反してあまりうまく育たず。その後、もうひょうたんのことは嫌いになってしまわれたかも……とちょっぴり寂しく思っておりました。
ところが、今年1月にお手紙をいただいたのです。その手紙を読ませていただくと、金田さんは今もひょうたんを好きでいてくださっているのだということがはっきりしました。
お手紙によると、ずっと「ひょうたん日記」と「でれろん暮らし」を読んでくださっているそうです。ありがとうございます。そして、昨年末に子猫を飼い始めたそうなのですが、その猫の背中に、ひょうたん模様が浮き出しているらしいとのこと……!ええっ、なんですって?
ということで、私は金田さんに「そ、その猫さんのお写真を見せてくださいっ!」と鼻息荒くメールしました。で、送ってきてくださったのが、ここに貼った写真たちであります。
「ぎんなん」はシャム系の雑種の猫で、やってきたときは顔の一部と尻尾をのぞいて、ほとんど真っ白だったそうです(写真④)。それが、大きくなるにつれて背中に薄茶色の模様が、ひょうたんが浮き出てきた……!
確かに!写真①などを見ると「どこに……?」と思いますが、写真②や③を見ると、背中、とくに上半身にひょうたんの形をした斑があるのがわかります。
薄い茶色なので、ひょうたんに思い入れのない人にとっては「言われてみると?」というレベルかもしれません。しかし、ひょうたんアイを持つ私にはくっきり見えます。これを発見するということは、金田さんにもひょうたんアイが、もといひょうたん愛が備わっているということですよね。
金田さんはここしばらく落ち込むことが多かったそうなのですが、「ぎんなん」の背中のひょうたんを見ていると励まされているように感じるそうです。
「勝手な思い込みですが、徐々に気持ちも上向いております」と、お手紙にも綴っていらっしゃいました。いやいや、勝手な思い込みなんかじゃありませんよ!ひょうたんは吉祥模様ですからね!
じつは私も猫が好きで、以前シャム系の雑種猫を飼っていたこともあるのですが、シャム系の猫ってたいてい生まれた時は真っ白。しかし不思議なことに、歳をとるとだんだんと模様が濃くなってくるのです。なので、「ぎんなん」の背中のひょうたんも、これからますます濃く、はっきりしてくるのではないでしょうか?
……と、そんなことを考えていると、思い出しました。10年ほど前のことです。私はそのとき、某保護猫カフェで、背中にくっきりしたひょうたん模様を持つ白黒斑の猫を見かけたのです。ちょうど前に飼っていたシャム系猫が死んだばかりだったので、「こ、これは!ぜひ飼いたい!」と思って交渉したのですが、条件に合わないと言われて断られてしまいました。ものすごく残念でした。
もう一つ呆然としたのは、私にははっきりと見えているひょうたん模様が、その猫カフェの人には全然見えてないらしい……ということでした。
ひょうたんアイを持っている人って、世の中にそんなにいないんだな……。それがわかっているからこそ、金田さんのひょうたんアイが、私は本当にうれしいです。ひょうたんを背負った「ぎんなん」は、それが見えている人にとって、間違いなく福猫であろうと思います。
(696日目 ∞ 2月16日)