北野天満宮の節分③思いのままにひょうたん!
by 丸黄うりほ
「北野追儺狂言」の主人公であり、北野天満宮の摂社「福部社」に祀られている「福の神」が、牛車を引く牛の世話役であったこと。昨日はその驚きについて書きました。神の使いとされている牛の像は、境内のあちこちで見ることができます(写真①)。
天満宮のもう一つの縁起物が梅です。節分のこの日も、梅の花がちらほらと咲き始めていました(写真②)。縄を張ったバケツに、短冊をつけた梅の枝がいっぱい入れられているのも見かけました。近寄ってよくみると……。
なんと!枝の1本一本にひょうたんがぶら下がっているではありませんか!
ひょうたんの大きさは7センチくらい。一瞬、千成ひょうたんかと思いましたが、木製でした。ひょうたんのなかには、厄除けの玄米が入っているという看板もありました。(写真③④⑤)
この梅の枝は、「思いのまま」といい、神域である境内の梅の剪定をしたときに出たものなのだそうです。ということなので、当然ですが数量限定。授与していただける期間も今だけです。ご利益は短冊にもあるように「災難厄除」「疫病退散」のほか、天満宮だけあって「受験・学問・芸能」にも御神徳があるらしい。
梅の枝にはつぼみがついていて、花瓶にさしておくと、うまくいけば花が咲くかもしれないそうです。しかも、その花の色は「思いのまま」。
「思いのまま」というのはもともと梅の品種名らしく、紅白混合の花が咲く。どんな色の花が咲くか、開くまでわからないのでこの名が付けられたそうです。花の色は梅の枝の「思いのまま」。人の思いのままにはならない。けれど、それを愛すること。とても哲学的であります。
植物の気まぐれにつきあうというのは、ひょうたん栽培にも通じるものがあります。園芸や農業すべてに通じるのかもしれませんね。
私はバケツのなかから自分で1本を選び、その梅の枝を授与していただきました。
北野天満宮の授与品はとても種類が多いのですが、そのなかにもうひとつひょうたんを見つけることができました。それが、写真⑥の「厄除割符」です。
厄年に当たっている人のためのお守りで、木札が真ん中でぱきっと割れるようになっています。ひょうたんが描かれたほうの裏側に名前と年齢を書いて納め、厄を落としてもらう。そして、「北野天満宮御守護」と書かれたほうの割符をお守りとして身につけるものだそうです。
やはり、ひょうたんには厄を吸い取るという霊験があるのですね……。
自分が厄年に当たっているかどうか気になるところではありましたが、今日は「福豆」も「思いのまま」も授与していただいたし、そんなに一気に欲張ってはいけないと思いました。
「北野追儺狂言」に登場するひょうたん見たさにやってきた北野天満宮で、こんなにもたくさんのひょうたんと出会えるとは。思いがけない喜びに、私の心はもうすでに春めき始めていました。
(693日目 ∞ 2月10日)
※2月11日(金・祝)〜13日(日)の「ひょうたん日記」はお休みです。
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