北国街道・木之本③地蔵院と琵琶むらさき

by 丸黄うりほ

①木之本地蔵院にお参りしました

②カエルがいっぱい?

③御戒壇巡り。漆黒の闇が怖かった

④薬屋さんの古い看板

⑤醤油の醸造元も多い。こちらはダイコウ醤油

⑥滋賀県にはこれだけの醤油醸造元があるらしい

⑦こちらは白木屋醤油店

⑧白木屋醤油店でひょうたん発見!

⑨本屋さんも多い。ちょっとひょうたん似?

木之本の中心部には、木之本地蔵院という古刹があります。言い伝えによるとなんと7世紀に創建されたのだとか!すごいですね。こちらは目のお地蔵様としても有名で、視力が低く目病を患っている私にとって、いつかお参りしたいお寺でもありました。

御本尊は秘仏だそうですが、境内には本尊をかたどった高さ6メートルの地蔵菩薩大銅像が立っていました。そして、その足元には陶器製のカエルがいっぱい。よくみると、カエルたちはみんな片目を閉じています。これらのカエルは身代わりカエルと呼ばれているらしい。ほかに、境内にはメガネの供養所もありました。(写真①②)

さらに、写真③をご覧ください!こちらのお寺では、御本尊のお厨子の下をめぐる「御戒壇巡り」ができるのです。中野さんと私は大きな荷物を預けてチャレンジすることにしました。長さ31間あるという回廊の、6つ目の角を曲がった先にある錠前に触れると、ご本尊の御手と結ばれるそうですが……。

中は、文字通り、漆黒の闇でした……!!!

まったく光がない世界というのは本当に恐ろしいです。私は闇の中を歩きながら、光のありがたさ、目の大切さをこれまで以上に感じました。錠前については「あれだったのかな?」という感じで確信が持てませんでしたが。

なんだかちょっと異次元のような体験をして、闇から出た私たちは再び光の下を歩き出しました。

闇の残像を頭のすみっこに留めたまま木之本の街を歩いていると、だんだんと別の時代にいるような気分になってきました。たとえばふと通りかかった薬局(写真④)や、醤油屋(写真⑤)が軒並みこんな感じなのです。

そのうちに、ここには醤油の醸造元がとてもたくさんあることもわかってきました。古い酒蔵もあるし、醸造業全般が大変盛んなのですね。

写真⑤はダイコウ醤油の外観。写真⑥は岩根醤油醸造店(ヤマジュウ醤油)で見かけた「滋賀県醤油工業協同組合」の暖簾です。ずらり並んだ醤油のロゴマークの中心に琵琶湖、そして「琵琶むらさき」という文字。滋賀県にはこれだけたくさんの醤油醸造所があり、その製品は「琵琶むらさき」と呼ばれているらしい。

写真⑦は、白木屋醤油店(ヤマク醤油)。今も昔ながらのやり方で醤油を造り続けてらっしゃいます。こちらは江戸末期の創業で、店内には筆で書かれた注文帳や陶器の醤油瓶が今なお保存されていました。それらの古道具に混じって……。

……んっ!と感じた、ひょうたんの気配!(写真⑧)

思わぬところでひょうたんに出会ったうれしさに、「こ、このひょうたんは?何に使われていたのでしょうか?」と興奮しつつ尋ねてみましたが、お店の方は「さあ?何でしょうね。うちはこんな古道具ばっかりあるんですよ」と、微笑みながらおっしゃるばかり。濃い茶色をしたひょうたんは、確かにとても古そうです。何十年もの間、ずっとこの店先にぶら下げられてきたのでしょうか?

私たちは、何軒もある醤油屋さんでつい買ってしまった醤油と、桑酒と、「七本鎗」の瓶の重さを感じつつ再び歩き出しました。すると、また別のことに気がついたのです。この街にはコンビニが一軒もないのに、なぜか本屋が多い。

じつは中野さんも私も、ひょうたんだけではなく、本も大好物。ついつい古本屋に立ち寄って、また荷物が増え……。

さすがに重い。しかし木之本って本当にいい街だなぁ。ここでは、古本屋さんの看板もなんとなくひょうたんに似ているような気がしませんか?(写真⑨)

(683日目 ∞ 1月27日)