ひょうたんはアートだ!青春だ!(後編)

by 丸黄うりほ 

①カメラ、スマホ、ひょうたんをぶら下げた彼女たちは一体?

②このひょうたんに謎が隠されているのか?

③いい形です。本物のひょうたんそっくり!

④パフォーマンスに参加するふじっこさん「ひょうたーーーーん!」

⑤美術部顧問の宮崎宏康先生

昨日の続きです。有馬温泉のねね橋にぶすっと刺さった巨大なひょうたんは、松蔭中学校・高等学校美術部のみなさんによるアート作品「愛をこめてひょうたんを 〜Come back 青春〜」でした。

橋の上から下を見ると、その作者と思しき女子生徒たちが、カメラ、スマホ、そしてまたしてもひょうたんを制服にぶら下げて、忙しそうに、しかも大変楽しそうに走り回っています。どうやらアートを見に来たお客さんらしき人々に声をかけている。そして、ぶら下げたひょうたんの口部のあたりを、マイクのようにその人たちに向けて、何か言わせているようです。

ひょうたんには赤色と、黄緑色と、シャイニーな青色の3色があり、サイズも立派だし、どれもとてもいい形。大変リアルなので一瞬本物のひょうたんなのかな?と思ったほどでしたが、近寄って見てみるとこちらもアート作品だということがわかりました。発泡スチロールのような軽い素材でできているようです。

「私たちはひょうたんが大好きで、ねね橋に刺さっているひょうたんの作品が見たくて有馬にやって来ました。この3色のひょうたんも、あなたたちの作品なんですか?」とその中の一人に聞いてみると、「はい。そうですよ!」と答えてくれました。

さらに別の女の子が言いました。「私たちはひょうたんに愛の言葉を集めているんですよ。やってみますか?」

「ひょうたんに愛???」と、ふじっこさんと私はびっくり、そしてにんまり。そんな言葉が、自分たちのような瓢狂い以外の、しかもこんなに若い人たちからナチュラルに出てくるなんて!

まずふじっこさんが「やってみます!」と立ち上がり、ひょうたんアートに参加してみることになりました。赤いひょうたんを持った生徒が、「好きなものとか、好きなものにかけたい言葉を、ここに向かって叫んでください」と言いました。ふじっこさんは大声で「ひょうたーーーーん!!」と叫びました。

次は私です。ふじっこさんが先に叫んだ「ひょうたーーーーん!!」が録音されていて、私の耳に届きました。私は「千成、大好きーーー♡」と叫びました。前の人が叫んだ愛の言葉に、次の人が答えて、愛の言葉がチェーンのようにつながっていく仕組みのようです。

愛の言葉を人前で言うなんてテレますが……。いやー♡ うれしいですね。

これらのひょうたんアートは、もはや中学校・高等学校の美術部作品という域を超えてれっきとした現代アートといえそうです。実際、こちらは「六甲ミーツ・アート芸術散歩2021」の出品作品でもあるそうで、有馬温泉のねね橋以外に、六甲山高山植物園でも展示されていたのだそうです(11月23日で終了)。

美術部顧問の宮崎宏康先生が近くにいらっしゃったので、このひょうたんアートについてお話をうかがってみました。

「もともと、橋を突き抜けるひょうたんという発想は、中学の生徒から出たんです。それをどうやって実現するかということについては、私も含め、みんなで考えて作りました」とのこと。

作品の近くに貼られていた解説には、次のような宮崎先生の言葉も綴られていました。

「2021年夏の終わり、有馬温泉に巨大なひょうたんが現れました。炭酸せんべい模様を全身に纏い、ねね橋を突き抜けるほどの生命力。しかし或る夜、突然姿を消したのです。青春の悩みか若さゆえの過ちか、その姿を六甲山の湖畔で見たという噂もありました。ひょうたんの花言葉は「幸福」「夢」。花模様のオクラは「恋の病」です。渇望する愛ゆえにひょうたんは帰ってきます。松蔭中学校・高等学校美術部より、「愛をこめてひょうたんを」。」

ああ、素敵ですね。なんてロマンチックなの。

ひょうたんはアートだ!ひょうたんは青春だ!ひょうたんは愛だ!

(645日目∞ 11月25日)