ひょうたんのお灸・吸いふくべ実験(その2)
by 丸黄うりほ
昨日の続きです。『与論町誌』を参考に、「点滴法」と呼ばれるやり方で「吸いふくべ」の実験をしてみたヤマミーさんですが、ひょうたんの吸い付きが悪い上に焦げてきたため、いったん中断。
「なぜうまくいかないのだろう?実験に使った千成ひょうたんの皮が薄すぎるからかな?」と思ったヤマミーさんは、家にあった長ひょうたんと皮の厚みを比べてみました。(写真①)
「千成ひょうたんは4ミリくらい、長ひょうたんは6ミリくらい。やはり千成ではダメなのかな」と、思ったそうです。
しかし、ひょうたんカップ内を陰圧にできればいいわけで、「点滴法」以外にも方法があることに気がつきました。
たとえば「気缶法」は、空気減圧器でカップ内の空気を吸い出すことによって陰圧状態にします。火を使わないので火傷の心配もなく安全だけど、これはひょうたんのカップでは無理そうです。
「水缶法」は、カップを薬湯や水につけて煮立て、取り出して素早く体につける方法です。水蒸気の蒸発によって陰圧となります。竹を使うことが多いそう。
ひょうたんも竹と同じ自然素材だし、「水缶法」ならいけるかも?と思ったヤマミーさん。ひょうたんを煮沸して試してみました。……が、全然吸い付きません。発見できたのは、煮沸すると水つけ時のあの臭いが再び出てくることだけでした(笑)。
最初に試した「点滴法」は、「火缶法」と呼ばれる火を使った陰圧方法の一つですが、火を使う方法ならほかにもあります。「投火法」は、アルコール綿花に点火してカップ内に投げ入れる方法ですが、火傷しそう。すでに「点滴法」で小さな火傷をしてしまったヤマミーさんは、すぐこれを却下しました。
それなら「架火法」はどうだろう?
「架火法」は、小銭1枚をおひねりのように柔らかい紙か布で包み、ツボや患部の上に置いて、紙の先端に点火。素早くカップをかぶせるという方法です。
「やりましょう!」というわけで、さっそく実験に入りました。まず10円玉を紙で包み(写真②)、それを脚に置いて、火をつけます(写真③)。そして、すぐにひょうたんをかぶせました!(写真④)
おお、ひょうたんが肌に吸い付く!吸い付く! ……ついに、成功です!
ヤマミーさんの報告によると、「架火法」による「吸いふくべ」は、ひょうたんが柔らかく肌に吸い付いて、立って歩いても大丈夫なほどでした。熱くもなく、とても気持ちがよかったとのこと。しかし、問題点はやはり燃えやすさだと感じました(写真⑤)。
もう少し大きくて皮の厚みのあるひょうたんなら危なくないかも。チブル=ナガユウガオなら、もしかしたら皮の厚さや耐久性がひょうたんとは違うかも。
「来年はナガユウガオを栽培してみて、千成ひょうたんと比べてみたい」と、おっしゃるヤマミーさん。おお、すでに来年の計画も練られているようです!鍼灸師ヤマミーさんの「吸いふくべ」実験はこれからも続きます。
(642日目∞ 11月19日)
※次回643日目は奥田亮「でれろん暮らし」、11月22日(月)にアップ。
644日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、11月24日(水)にアップします。(11月23日(火・祝)はお休みをいただきます)