東洋陶磁美術館の麗しひょうたん(その1)

by 丸黄うりほ 

①コレクション展「日本陶磁」入口にひょうたん!

②「色絵 菱畳地瓢箪文 大皿」

③ひょうたんの中に鳳凰とかきつばた

④「企画展2 福井夫妻コレクション 古九谷」

⑤「色絵 雲龍文 瓢形瓶」

⑥「色絵 草花文 瓢形香炉」

⑦「色絵 瓜松文 輪花皿」

 

「東洋陶磁美術館に、ひょうたんがいっぱいあったよ!」という情報をいただき、さっそく出かけてまいりました。今週はそのレポートをお送りしたいと思います。

大阪市立東洋陶磁美術館は、大阪の中心部・中之島にあり、住友グループから寄贈された「安宅コレクション」と呼ばれる東洋陶磁コレクションを中心に所蔵・展示している美術館です。中心となる中国陶磁、韓国陶磁には国宝の「油滴天目茶碗」や「飛青磁花入」が、日本陶磁にも奈良時代の「奈良三彩壺」などの重要文化財があり、東洋陶磁のコレクションとしては世界有数の質と量を誇ります。

年に数回、展示品の入れ替えがあるようですが、現在は「企画展1 柳原睦夫 花喰ノ器」と、「企画展2 福井夫妻コレクション 古九谷」、そして「コレクション展」が来年の2月6日まで開催されています。最近は美術館や博物館でも写真撮影OKなところが増えてきていますが、こちらの美術館もOKなのがうれしい。そんなわけで、美術館で見つけた麗しのひょうたんたちを順に紹介していきたいと思います。

まず、1階で受付をすませて階段を上がるとラウンジがあります。その奥にいきなりひょうたん模様のパネルが!(写真①)。

パネルには「Gallery J コレクション展 日本陶磁」とあり、本来なら「Gallery A」から順に鑑賞するのが正しいのかもしれませんが、こんなのが最初に来たら中に入らずに通り過ぎることなんてできません。私は、まずこのコーナーから見ることにしました。

この麗しいひょうたんは「色絵 菱畳地瓢箪文 大皿」といい、「Gallery J」の真ん中あたりに展示されていました。説明文によると、江戸時代、1640〜50年代に肥前・有田で作られた古九谷だそうです。このような大皿は宴会などのハレの場で使われ、大名のステータスシンボルであったため同意匠のものがほとんどない。この大皿は加賀藩前田家による特注品だったと推測されるそうです。

それにしても、この模様は本当に素晴らしいですね!菱形の幾何学模様の上に配置された3つのひょうたん。左上と右に重ねたひょうたんのなかには、五色で鳳凰とかきつばたが描かれていて、華やか、かつおめでたい。江戸時代のデザインセンスと、技術力の高さにうっとりさせられます。(写真②③)

「Gallery F」でも、「企画展2 福井夫妻コレクション 古九谷」という展示が開催されていました。(写真④)

こちらは関西在住の福井夫妻が約20年にわたって収集された古九谷のコレクションだそうで、皿、香炉、猪口などの小品が中心。宴会などハレの日に使われたものが多かったらしく、緑・黄・紫・赤・青の華麗な色彩、斬新な模様、バラエティーに富んだ形状が勢ぞろい。……ということは、ひょうたん型やひょうたん柄のものも見つかるのでは?

……という私の予想はドンピシャでありました。

写真⑤の「色絵 雲龍文 瓢形瓶」は、まさにひょうたん!花を飾ったのか、それともお酒を入れて使ったのか? 口部からくびれにかけてのフォルムがなめらかで美しいですね。きゅっとしまったウエストは中国風だと思います。

写真⑥の「色絵 草花文 瓢形香炉」は、対照的にころんと丸いひょうたん型。香炉のふたのポチっとしたつまみも可愛く、心までまるく和むようです。

そして、写真⑦の「色絵 瓜松文 輪花皿」。こちらはひょうたんではなく、ウリと松ですが、珍しい取り合わせ、おもしろい意匠ですね!

これを見てぱっと思い出したのが、信州・小布施の奥田亮さんのひょうたんのことです。「ひょうたん日記」9月13日(595日目)9月27日(604日目)にアップされていた、松にイプ、松にUFOの写真。

江戸時代の庭でも、奥田さんの庭と同じようにウリの蔓が松の木にからんで実をつけていたのでしょう。それを見た絵師さんが、「これはおもしろい!」とスケッチしておいたのが、お皿のデザインとして採用されたのかもしれませんね。

(634日目∞ 11月9日)

大阪市立東洋陶磁美術館はこちら https://www.moco.or.jp/