千成そしてIPUとアメリカ
by 奥田亮
9月の末頃から、産直売り場では栗やブドウに並んでリンゴが盛大に出はじめました。この時期に出るのは「秋映(あきばえ)」という品種。深い赤色でちょっと小ぶりのリンゴです。そしてもう少しすると「シナノスイート」が出て、その後「シナノゴールド」という黄色いリンゴが出てきます。この3種類は長野県で開発された品種で、「信州りんご三兄弟」と呼ばれています。それぞれに味や食味に違いがあり、人によって好みが違うので、リンゴ談義に花が咲くこともしばしば。この三兄弟が終わる頃に「ふじ」が出てきます。「ふじ」は酸味・甘味のバランスが良く、食味もシャキッとしていて「リンゴの王様」と銘打たれていたりします。これから冬まで、色んなリンゴが楽しめるんです。ただ、今年は春に遅霜があって花芽がやられてしまい、収量があまりよくないと聞くこともあります。どうなのかな。気候や環境に左右されるのはホントに大変ですね。
さて、先週から1週間、水づけの千成は、ほぼ中身が抜けたようなのでもう一回軽く振り出して、匂い軽減のためあと数日水につけておこうと思います。この段階ですでに三つほどが成長不良のため割れてしまいました。
写真1をご覧いただくとおわかりだと思いますが、いくつか、蔓を残した形で水づけをしています。この場合は底に穴をあけて中身を出します。蔓は生育環境によって曲がったり歪んだりして見た目おもしろそうなのを残しています。よく見ると蔓は螺旋状に成長していて、意外と味わい深いのです。何年か前に収穫した蔓付き千成は、最近ペーパーウェイトになりました(写真2)。蔓の先に小さなビーズをつけてちょっとおめかし。これはすでにお嫁入り先が決まっております。
さて、いまだ栽培途上にあるIPUとアメリカ。IPUはさすがに全体の半分ぐらいは葉っぱが枯れていますが、まだ花も咲いたりで元気です。なんだか奥手ですね。これから受粉してももう遅いよ、日本では。実際のところハワイではどうなんでしょうね。
生育中の三つのIPUはまだまだ重たくて収穫は先延ばしにしていますが、蔓がもつかどうか心配になってきました。一番最初にできた実は麻布で補強。棚の比較的低いところにあるので脚立でなんとか届きましたが、二番目にできたのは軒の雨樋の下にあって届きそうにありません。「切れてくれるな」と祈るのみ。もう一つ、松に絡まっている実は、枝に乗っかっているので落下する心配はなさそうです。まるで羽根を休める鳥のようですね。そして、本来ならもっと下に成長して細長くなる予定だったであろう実は、枝に邪魔されて全体的にムックリとちょっと肥満ぎみの形。なかなかいい感じ。
アメリカ瓢も今のところ問題なく育っています。アメリカ瓢にしては小ぶりで、ちょっと大きめの鶴首瓢ぐらいの大きさですが、これくらいで収まってくれている方が完熟の期待が持てます。この種を来年環境のいいところで栽培すれば、また大きな実ができるのではないかと。丸黄さん、ふじっこさん、よろしくお願いします! でれろん!
(614日目∞ 10月11日)