収穫したひょうたんたち、第二の瓢生は?
by 丸黄うりほ
10月5日(610日目)の日記でも書いたように、私たち「ヒョウタン総合研究所」のひょうたん栽培の目的は、その実から「音のなるもの」、「楽器のようなもの」を作ること。
というわけで、収穫後のひょうたんの進路、いわば第二の瓢生はほぼ決まっています。とはいえ、どのような楽器にしてやるか。それはその実のもつ個性、つまり大きさ、皮の厚さ、形などによって変わってきますし、作り手の技術力や、センス、好みなどの都合も入ってくる。
「ヒョウタン総合研究所」所員のふじっこさんは、去年に続いて今年も長ひょうたんを栽培しました。ふじっこさんの場合は、これでディジュリドゥを作るのが目標なのです。
しかし、本来のディジュリドゥはユーカリの木から作られていて、ひょうたんとは素材感が全く違います。当然、出てくる音もかなり違っていて、去年の長ひょうたん「おろち」から作ったディジュリドゥはまるでオナラのような音しか出ませんでした(笑)。
今年のふじっこファームでは、5本の長ひょうたんが収穫できました(写真①)。そのうち2本は長さ1.5メートルほどあり、皮も厚め。どんな音が出るか。ふじっこさんは水つけの終わったひょうたんをさっそく吹いてみることにしました。すると……
おおおおー、これは! かなりディジュリドゥっぽい音!去年の屁のような響きとはだいぶ違うではないですか!
吹き口に蜜蝋を塗ったり、ボディに塗料を塗ったりするとさらにいい音になるかもしれません。最終的にどんな楽器になるか、楽しみにしていましょう!
さて、次は写真②をご覧ください。こちらは淡路島のヒロミさんが先日収穫したUFOひょうたんです。
これから水つけをするそうですが、作業に入る前に実のどこに穴を開けるかをかなり考えたのだとか。というのは、二つとも打楽器にするそうなのです。おそらく、ヒロミさんの頭の中ではもう設計図ができているのだと思います。水つけが終わって、その後どんな加工がされるのか? こちらも楽しみ!
ところで、ヒロミさんのUFOのタネは、大阪・北浜のサロン喫茶「フレイムハウス」の店先で昨年実ったひょうたんから採取されたものでした。
今年は、「フレイムハウス」の店主・美佐子さんに、信州の奥田亮さんからとどいたイプのタネを我が家で発芽させて苗まで育て、その後の面倒を見てもらっていたのですが……。
つい数日前に栽培を終了したとの連絡をもらいました。結局今年は一つも実がならず。雄花はいくつか咲いたそうですが、雌花がほとんど咲かず、そのうちにアブラムシに蝕まれてしまったのだそうです。最後まで葉は青々として美しく、グリーンカーテンとしてお客様にも楽しんでいただけたようですが、やっぱり来年は実がなってほしいなぁと思います(写真③)。
ひょうたん栽培のベテランにとっても難しい品種だったイプですが、瓢箪山のフェイ・ターンさんに委ねた苗「イプ・ターン」は3個も実をつけました。
先に収獲した2個は、水つけも終わって乾燥中。そのうちの1個は頭の部分が黒く仕上がり、まるでプリンのよう(笑)。カビが作り出した模様だと思いますが、こんな面白いひょうたんはなかなか作ろうとして作れるものではありません。うらやましいなー、フェイさん(写真④)。
最後まで蔓にぶら下げていた3個目の実も無事に収獲。表皮に目立った傷もなく、つるつるとした美しいひょうたんです。水つけするとまた違う趣に仕上がることでしょう(写真⑤)。
今のところ、フェイ・ターンさんはこれらのイプたちをランプにしようと考えてらっしゃるようです。ランプも確かに素敵ですが、1個くらい楽器にしてみませんか?ハワイの打楽器、その名も「イプヘケ」が作れますよ〜。いかがでしょうか?
(612日目∞ 10月7日)