割れ瓢元に戻らず

by 奥田亮

ああ…

実はまだ緑だけど蔓はもう木質化して茶色。崩れ去る可能性大。

蔓が切れて落ちてた百成。割れずに無事。

収穫した百成たち。いい形。

最初に見つかったアメリカ瓢は黒いシミが…。

二つ目というか多分一つ目のアメリカ!なんとか育ってくれ!

ああ…。心なしか落ち込んでおります。UFOを落として割ってしまったのです。収穫した時に手元からツルンと滑り落ちてコンクリートに激突。土の上ならまだしも、コンクリートではひとたまりもありませんでした。ああ、やってしまいました。油断大敵。覆水盆に返らず。割れ瓢元に戻らず。

UFOは8月と9月に一つずつできましたが、葉っぱもほぼすべて枯れたので収穫することにしたのです。8月の実は十分成長し、乾燥しはじめていたので絶対問題ない実だったのです。ああ…。

9月にできたUFOは、まだ少し実の色も緑で、ぐっと指で押すとちょっと弾力があってまだ柔らかかったので、収穫してもきっと崩れはててしまうであろうと予想されるのですが、このまま置いておいても同じなので、収穫してそのまま、水づけしないで放置する作戦ですが、うまくいっても皮のうっすーい危なっかしいやつになるのが関の山。あくまで、うまくいっても。薄くても形を保ってくれるならよしとしたいところです。割れた8月の実は、割れを生かして何かにすることはできるかもしれないし、少なくとも種は確保できそう。種さえあれば来年につなげることができます。ということで気を取り直しましょう。

百成は三つの苗から大小あわせて四つができ、すでに四つとも成長が止まり、白く軽くなっていました。一番最初に下の方にできていた実は、ある朝見ると蔓が切れて落ちていました。幸いこれは低いところにあったのと、土の上だったので、割れることなく無事でした。四つの百成はそれぞれ形も違っていて、いかにもひょうたんな形はなんだか安心感がありますね。久々のひょうたん型のひょうたん。これはしばらく飾って楽しみましょう。

さて、最後に現れたダークホース、アメリカ瓢はどうなったでしょう。毎朝観察していると、少しずつ成長しているようにも見えるし、変わってないようにも見えていましたが、今朝見るとボディに黒いシミが…。ああ、きっとこのまま黒く腐っていくんだろうな…。う〜ん、もうダメだよね〜とジッと見ていて、ふと視点をずらすと、あれ、奥の方になんかもう一つ実のようなものが見えます。ん? ン? ん、ン、ん、ン!? なんとアメリカ瓢がもう一つできているではありませんか! しかもずっと大きいのが。隣の植木を侵略しながら成長していたので、葉っぱに隠れて全然みえなかったのです。なんと! ビックリ! さあ、どうなるでしょう!? ぜひともちゃんと育ってほしい! 完熟して健全な種を採ることができたら、来年皆さんにお配りすることもできるのです。でも、もう10月。おそらくは時間が足りません。初めっからなるつもりだったら、もっと早くなってくれてればよかったのに。気をもませるやつですね! でれろん!

(609日目∞ 10月4日)

  • 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。